ジャージを作るとき、いちばん最後に気づいて青くなるのは「デザイン」ではない。セカンドジャージを作っていなかった、袖が短すぎた、胸のスポンサーロゴで公式戦に出られない――こうした“規程の落とし穴”だ。この記事を読み終えるころには、注文前に決めること、日本ラグビーフットボール協会(日本協会)の規程で確認すべき数字、発注から納品までの逆算のしかたが、ひととおり判断できるようになる。
- 日本協会「選手の服装に関する規程」では、公式戦の会場にセカンドジャージを持参する義務があり、色が似ていればレフリーが両チーム立ち会いで着用ジャージを決める(第4条)。
- 高校生・大学生のジャージに掲出できるのは、チームエンブレム1個(100㎠まで)・製造社ロゴ1個(80㎠まで)などで、企業等の広告を掲出した服装では公式戦に出られない(第7条・別表2)。
- World Rugbyの競技規則(2026年版)第4条2で、ジャージの袖は「肩先からひじまでの少なくとも半分」の長さが必要。
- 背番号は素地とはっきり区別できる色と、判別しやすいサイズで表示する(同規程第5条)。
- 編集長LEOが制作に携わるHERCULEGEARの場合、納期はデザイン確定後約8週間が目安(2026年10月時点の公式サイト)。初の公式戦から逆算して動き出す。
Contents 目次
チームジャージは何から決める? 答えは「使う大会」と「着る人数」
最初に決めるのはデザインではなく、そのジャージをどの大会で着るかと何人分いるか。この2つで、守るべき規程と予算の桁が決まる。
日本協会の公式戦(日本協会・支部協会・都道府県協会・全国高等学校体育連盟などが主催する試合)に出るなら、日本協会の「選手の服装に関する規程」が基準になる。この規程は、試合で着るジャージ(セカンドジャージを含む)・パンツ・ストッキングのデザイン、色合い、エンブレム、チーム名、選手名を入れる場合はその名前、製造社のロゴ、背番号を、ジャージ等登録申請書で所属する都道府県協会に登録申請しなければならないと定めている(第3条)。つまり、作って終わりではない。登録までが発注の一部だ。
一方、社会人の草ラグビーや合同練習用、親睦大会だけで着るなら、縛りは大会ごとの要項に移る。どちらにしても「使う予定の大会の要項」を最初に手元に置くと、あとの判断がぶれない。
人数は、試合に出る人数ではなく登録する人数+予備で数える。けがで入れ替わる、途中で入部する、背番号が足りない。チームでは毎年起きることだ。15人制の競技規則(2026年版)第3条4は、国際試合で最大8人のリザーブ(交代・入替選手)の指名を認めているので、トップレベルでは1〜23番が並ぶ。高校やクラブの大会で何人をベンチに入れられるかは大会要項しだいなので、そこから逆算する。
規程で決まっているのはどこまで? 袖・背番号・色・ロゴの数字
規程で決まっているのは、袖の長さ、背番号の見え方、色の判別、ロゴの大きさと数、それに広告の扱い。デザインの自由はその内側にある。注文前に押さえておきたい数字を表にまとめた(確認日2026年10月11日)。
| 項目 | 決まり | 根拠 |
|---|---|---|
| 袖の長さ | 肩先からひじまでの少なくとも半分 | World Rugby 競技規則(2026年版)第4条2 |
| セカンドジャージ | 公式戦では試合会場に持参する | 日本協会 選手の服装に関する規程 第4条3 |
| 色が似ている場合 | レフリーが両チーム立ち会いのもとで着用ジャージを決める | 同 第4条4 |
| 着方 | 袖を必要以上に折り上げたり、ジャージの裾を出したりしない | 同 第4条5 |
| アンダーウェアの色 | ジャージと同系色か、白・黒・紺の単色 | 同 第4条6 |
| 背番号 | 明確に表示。素地とはっきり区別できる色、判別しやすいサイズ | 同 第5条 |
| チームエンブレム(高校生・大学生) | ジャージ1個、100㎠まで | 同 別表2 |
| 製造社ロゴ(高校生・大学生) | ジャージ1個、80㎠まで | 同 別表2 |
| 企業等の広告 | 掲出した服装では公式戦に出場できない(協会との契約や特別な承認がある場合を除く) | 同 第7条 |
見落としがちなのが最後の行。社会人クラブで「スポンサーさんのロゴを胸に」という話はよく出るが、日本協会の規程は企業等の広告を掲出した服装での公式戦出場を認めていない。しかも第7条2では、広告入りのスタジアムコートやトラックスーツを着て公式戦の会場の敷地に入ることもできないとしている。ベンチコートまで含めて考える必要がある。
記念ロゴやフレーズを入れたい場合は、事前に日本協会の大学委員会・高校委員会に文書で申請して承認を得ること、そしてそれが個人や団体の広告に当たらないことが条件だ(別表2の注記)。創部○周年の記念ジャージを考えているなら、発注より先に申請の段取りを。
なお、ここで参照した日本協会の規程は、協会サイトで公開されている「定款・規程集」PDF(規程の末尾に2017年4月1日改正とあるもの)で確認した。規程は改正されることがあるので、最新の扱いは所属の都道府県協会と大会要項で必ず確かめてほしい。ラグビーの基本ルール全体はルール初心者向けの記事で整理している。
色と背番号はどう決める? 「遠くから、雨の日に」見えるかで選ぶ
色と背番号の正解は、スタンドの最上段から、雨の夕方に見て分かるかどうか。規程が求めているのも「判別できること」だ。
1stとセカンドは「明」と「暗」に分ける
セカンドジャージは飾りではない。対戦相手と色がかぶったとき、レフリーの判断でどちらかが着替える前提の装備だ。だから1stとセカンドは、チームカラーの濃淡違いではなく、明るい色と暗い色に分けておくと強い。紺と青、えんじと赤のような組み合わせは、ナイターや雨の日には同じ色に見えることがある。
1枚で2色を持つ「両面(リバーシブル)」という選択肢もある。ただ、セカンドジャージとしてどう登録できるかは所属協会の判断になるので、作る前に確認しておきたい。
背番号は「素地との差」がすべて
背番号は、ボールキャリアを追うレフリー、ベンチのスタッフ、映像で振り返る指導者が使う情報だ。素地と同系色の背番号、細すぎる書体、柄の上に直接載せた番号は読みにくい。番号の下に別色の台(パネル)を敷く、フチ取りを入れるといった工夫で、柄の多いデザインでも読み取りやすくできる。ポジションと番号の関係はポジションと役割の記事で詳しく扱っている。
アンダーウェアとヘッドギアの色も一緒に決める
ジャージの袖や首元から見えるアンダーウェアは、ジャージと同系色か白・黒・紺の単色に限られる(第4条6)。ヘッドギアは白・黒・紺・グレーが望ましく、マウスガードは赤色が不可(第4条7)。高校生以下ではヘッドギアとマウスガードの着用が義務だ。ジャージの配色を決めるときに、ここまでセットで決めておくと試合当日に慌てない。ヘッドギアについてはヘッドギアの必要性を扱った記事、マウスガードはマウスガードの選び方の記事で掘り下げる。
注文から納品まではどう進む? 流れと「8週間」の逆算
流れは、相談→デザイン提案→見積りと確定→製作・検品→納品の5段階が基本。そして納期の時計が動き出すのは、多くの場合「デザインが確定した日」からだ。
ここで利害関係をはっきり書いておく。編集長LEOはHERCULEGEAR(エルキュールギア)でジャージ制作に携わっています。そのうえで、2026年10月時点のHERCULEGEARのチームオーダーページに載っている内容を、具体例として紹介する。
- お問い合わせLINEまたはフォームで相談。ロゴがなくても、画像や手描きのラフから相談できる。
- ヒアリング・デザイン提案チームカラーや要望を聞いてラフを出し、修正を重ねる。デザイン制作は何度でも無料(刺繍・特殊加工・襟の形状変更など仕様の追加は別途見積り)。
- 見積り・確定仕様と金額を確認し、デザインとサイズを決める。
- 製作・検品提携工場で製作し、国内で検品。通常はデザイン確定後約8週間が目安。
- 納品デザインデータを保管し、同じデザインでの追加注文にも対応。
「約8週間」は、デザインが確定してからの数字だという点に注意。相談からデザイン確定までの往復は、チームの意思決定の速さで決まる。監督、キャプテン、保護者会、OB会と、決める人が多いチームほどここが延びる。業者によって最小ロットや納期の考え方はかなり違う。比べるときは「何を起点に何日か」をそろえて聞くこと。
逆算の目安はシンプルだ。初の公式戦の日から、予備期間、製作期間、デザインを詰める期間を順に引いていく。新入生が入る春の大会に間に合わせたいなら、年度が替わる前に動き出すことになる。
素材とプリントは何を選ぶ? 昇華・刺繍・マーキングの違い
いまのラグビージャージは、ポリエステル生地に昇華プリントで柄を入れるのが主流。そこに刺繍やマーキング(背番号・名前の後付け加工)をどう組み合わせるかで、見た目とコストが変わる。
| 加工 | 向いているもの | 注意点 |
|---|---|---|
| 昇華プリント | 全面の柄、グラデーション、多色のデザイン | インクを熱で生地に染み込ませる方式で、ポリエステル系の生地が前提 |
| 刺繍 | エンブレムなど立体感を出したい部分 | 重みと厚みが出る。仕様追加として別見積りになることが多い |
| マーキング(後付け) | 背番号・選手名を個別に入れる場合 | 摩擦が多い競技なので、加工方法と耐久性を業者に確認 |
昇華プリントは生地そのものが染まるので、プリントの表面がひび割れたりはがれたりしにくい。スクラムやモールで生地が引っ張られ、地面にこすれるラグビーには相性がいい。柄の自由度が高いぶん、背番号の読みやすさが犠牲になりやすいので、前の章の「素地との差」を忘れずに。
生地の厚みや手ざわりは、画面では分からない。サンプルや実物で確かめられるかを、注文先を選ぶ基準に入れておくといい。
予算とサイズはどう考える? 定価×人数×点数で上限を出す
予算は「1人あたりの点数×人数×単価」でまず上限を出し、そこから数量割引や仕様で詰める。サイズは注文の前に「全員分を集める仕組み」を決めておくのがコツだ。
予算の上限をざっくり出す
HERCULEGEARのラグビーの定価(参考上代・税込、2026年10月時点の公式サイト表示)は、フィールドジャージ12,100円、フィールドジャージ(両面)16,280円、フィールドショーツ7,150円、フィールドソックス1,980円。数量に応じた割引があり、正式な金額は見積りで決まる。サイズ2XL以上や仕様の追加で価格が変わる場合もある。
| 例:25人分の試合用一式(定価での上限) | 単価(税込) | 小計 |
|---|---|---|
| フィールドジャージ×25 | 12,100円 | 302,500円 |
| フィールドショーツ×25 | 7,150円 | 178,750円 |
| フィールドソックス×25 | 1,980円 | 49,500円 |
| 合計(定価ベースの上限) | ― | 530,750円 |
ここにセカンドジャージの分が乗る。セカンドを1stと同じ枚数そろえるか、背番号ごとに必要な分だけにするかで、総額は大きく変わる。部費・保護者負担・OB会の支援など、誰がどこを払うかを先に決めておくと、デザインの議論で揉めにくい。
サイズは「集め方」で失敗が決まる
ラグビーは体格の幅が広い。同じチームにプロップとウイングがいて、小学生クラブなら学年で体が全く違う。サイズ表の数字だけで決めず、着用感を相談できるか、試着できるサンプルがあるかを確認したい。HERCULEGEARの場合、保護者がスマホで申し込むとチームの発注書に自動で反映され、背番号の重複チェックもできる仕組み(保護者WEB申込)が用意されている。紙やメッセージで集計して、背番号が2人かぶっていた――というミスを減らすための仕組みだ。
成長期のチームは、追加注文が前提になる。同じデザインで後から作れるか、データを保管してくれるかは必ず確認しておこう。部活の入部準備の全体像は入部準備チェックリストにまとめている。
発注前のチェックリスト:これが全部「はい」なら進めていい
最後に、注文ボタンを押す前の確認項目。ひとつでも「いいえ」があれば、そこを片づけてから進める。
- 使う大会の要項と、日本協会「選手の服装に関する規程」を読んだ(セカンドジャージ、ロゴの大きさ、広告の扱い)
- 1stとセカンドが、雨やナイターでも見分けられる明暗の差になっている
- 袖が肩先からひじまでの半分以上ある(競技規則第4条2)
- 背番号が素地とはっきり区別できる色・サイズになっている
- 登録人数+予備の枚数と、背番号の割り振りが決まっている
- デザイン確定日と納期の起点を業者と確認し、初の公式戦から逆算した
- 都道府県協会への登録申請の段取りと締切を確認した
- 追加注文の方法(同じデザインで作れるか)を確認した
相談先のひとつとして、HERCULEGEARのチームオーダーではデザイン相談から受け付けている。もちろん、どこに頼むにしても上のチェックリストはそのまま使える。
ジャージは、試合のたびにチームの名前を背負って走る服だ。デザインに目が行くのは当然だが、本当に差がつくのは、規程を読み、色の見え方を考え、人数と日程から逆算する地味な準備のほう。そこを押さえたジャージは、卒業してからも捨てられない一枚になる。
最小ロットは業者によって違う。HERCULEGEARの場合は2026年10月時点の公式サイトで「1枚から相談できる」としている。新規と追加注文で条件が変わる業者もあるので、両方を確認しておくと安心だ。 業者と仕様、時期で変わる。編集長LEOが制作に携わるHERCULEGEARはデザイン確定後約8週間を目安としている(2026年10月時点)。相談からデザイン確定までの期間は別にかかるので、初の公式戦から逆算して動き出したい。 日本協会「選手の服装に関する規程」第4条3は、公式戦で試合会場にセカンドジャージを持参することを求めている。対戦相手と色が似ていて判別しにくい場合、レフリーが両チーム立ち会いのもとで着用ジャージを決める(第4条4)。日本協会の公式戦に出るチームなら用意が前提になる。 日本協会の規程第7条では、企業等の広告を掲出した服装では、日本協会・支部協会・都道府県協会・高体連などが主催する公式戦に出場できない。日本協会との契約に基づく場合や、日本協会が特に承認した場合は例外になる。入れたい場合は事前に所属協会へ確認したい。 World Rugbyの競技規則(2026年版)第4条2で、ジャージの袖は肩先からひじまでの少なくとも半分の長さが必要とされている。ノースリーブや極端に短い袖は試合用ジャージには使えない。練習着やウォームアップ用とは分けて考えよう。ラグビーのチームジャージは何枚から作れますか?
ジャージの注文から納品まで、どのくらいかかりますか?
セカンドジャージは必ず作る必要がありますか?
スポンサーのロゴをジャージに入れて公式戦に出られますか?
ジャージの袖の長さに決まりはありますか?
参考:日本ラグビーフットボール協会 定款・規程集「選手の服装に関する規程」(確認日2026-10-11)/World Rugby 競技規則 第4条 Permitted clothing(確認日2026-10-11)/World Rugby 競技規則 第3条 Team(確認日2026-10-11)
