「ラグビーをやってみたい。でも、ぶつかるのは怖い」。そう言われたら、今は迷わず答えられる。ラグビーには、タックルのない形がいくつもある。タッチラグビー、タグラグビー、ビーチタッチ。逆に、砂の上でタックルありのビーチラグビーもあるし、五輪で行われているのは7人制だ。名前が似ているせいで混同されやすいこの6つを、人数・止め方・攻撃回数・試合時間・フィールド・統括団体で一枚の表に並べた。読み終えたら、自分や子どもが「どれから始めるか」を選べるはずだ。
- 違いの軸は「止め方」。タックルで止めるのが15人制・7人制・ビーチ5人制、触れて止めるのがタッチ・ビーチタッチ、腰のタグを取って止めるのがタグラグビー。
- タッチ(FIT Playing Rules 第5版)は6人制・6回タッチで攻守交代・20分ハーフ。タグラグビー(日本ラグビーフットボール協会の全国小学生大会規則)は5人制・タグ4回で攻守交代・5分ハーフ。
- 7人制はWorld Rugbyの競技規則で7人・7分ハーフ(大会の決勝は最長10分ハーフ)。2016年リオ大会から五輪で実施され、2028年ロサンゼルス大会でも行われる。
- タッチラグビーは2026年10月時点でオリンピック実施競技に決まっていない。
- タグラグビーは文部科学省の小学校学習指導要領解説(平成29年告示)体育編で、ゴール型の例示として中学年・高学年の両方に挙がっている。
Contents 目次
何が違う?いちばんの違いは「どうやって止めるか」
6つの競技を分ける最大の軸は、ボールを持った相手の止め方だ。タックル(相手をつかんで倒す・止める)があるのは15人制、7人制、ビーチラグビー(5人制)。体に触れるだけで止めるのがタッチとビーチタッチ。そもそも体に触れてはいけない、腰のタグを取るのがタグラグビー。止め方が変われば、必要な防具も、ケガのリスクも、始められる年齢も変わる。
もうひとつの軸は「攻撃に回数制限があるか」。15人制と7人制は、ボールを失うまで何フェーズでも攻め続けられる。一方でタッチは6回、タグラグビーは4回で攻撃権が相手に移る。回数が決まっている競技は、限られた攻撃のなかでどう崩すかという、アメリカンフットボールに近い駆け引きが生まれる。
6つの競技の違いを早見表で比べる
まずは“ぶつからない”3つ。数字はすべて各ルールの原文で確認した、2026年10月時点のものだ。地域の大会や体験会では人数や時間を変えていることが多いので、表は「公式の基準」として読んでほしい。
| 項目 | タッチ | タグラグビー | ビーチタッチ |
|---|---|---|---|
| ルールの出典 | FIT Playing Rules 第5版 | 日本ラグビーフットボール協会(全国小学生大会規則) | World Rugby Beach Touch Rugby |
| フィールドの人数 | 6人(登録14人まで) | 5人(入替2〜5人) | 6人まで |
| 止め方 | 体・服・髪・ボールに触れる | 腰の2本のタグを取る | 肩より下に両手で同時に触れ「Touch!」と言う |
| 攻撃回数 | 6回タッチで交代 | タグ4回で交代 | 大会が選ぶ方式による(6回で交代の方式あり) |
| 試合時間 | 20分ハーフ(計40分) | 5分ハーフ(ハーフタイム1分) | 5分ハーフ(計10分) |
| フィールド | 70m×50m(インゴール7m) | 縦30m×横25m(インゴール5m) | 砂浜。広さは大会が決める |
| 得点 | トライ1点 | トライ1点 | トライ1点 |
| キック | なし | なし | プレー中はなし |
| 主な担い手 | 国際タッチ連盟(FIT)/ジャパンタッチ協会 | 日本ラグビーフットボール協会(小学校中心) | 各国協会・大会主催者 |
次に、タックルのある3つ。15人制と7人制は同じWorld Rugbyの競技規則で、7人制は「バリエーション」として人数や時間が置き換えられている。7人制の試合はグラウンドの広さは15人制と同じまま、人数が半分以下になる。だから一人あたりの走る距離と、1対1で抜かれたときの失点リスクが一気に上がる。
| 項目 | 15人制 | 7人制 | ビーチラグビー(5人制) |
|---|---|---|---|
| ルールの出典 | World Rugby 競技規則 | World Rugby 競技規則(7人制バリエーション) | World Rugby Beach Fives Rugby |
| フィールドの人数 | 15人(第3.1条) | 7人 | 5人 |
| 交代 | 国際試合は8人まで指名(第3.4条) | 5人まで | 7人まで指名、ボールデッド時に何度でも |
| 試合時間 | 40分ハーフ(第5.1条) | 7分ハーフ、大会の決勝は最長10分ハーフ | 5分ハーフ(計10分) |
| フィールド | 最大100m×70m(第1条) | 15人制と同じ | 砂浜、31m×25m(インゴール3m) |
| 得点 | トライ5点、コンバージョン2点、PG・DG3点(第8.1条) | 同じ(コンバージョンはドロップキック、30秒以内) | トライ1点 |
| キック | あり | あり | プレー中はなし |
| 現在の五輪 | なし | 2016年リオ大会から実施 | なし |
ビーチラグビーと呼ばれるものは国や大会によって形がいくつもあり、World Rugbyはタックルありの「Beach Fives」と、触れて止める「Beach Touch」、タグを使う「Beach Tag」をそれぞれ別のルールとして公開している。「ビーチラグビーに出よう」と誘われたら、まずタックルがあるのかどうかを確認するのがいちばん大事だ。
タッチとタグラグビーはどこが違う?
止め方、人数、攻撃回数がそれぞれ違う。タッチは6人で6回、タグラグビーは5人で4回。そして、タッチは服や体に触れれば止まるが、タグラグビーは相手の体に触れること自体が反則になる。
タグラグビーでは、腰の左右に付けた2本のタグのどちらかを取ったら「タグ!」と叫んで頭上に掲げ、取られた選手は前進をやめて味方へパスする。日本ラグビーフットボール協会の説明では、ボールを持った選手がタグを手で押さえて守るのは禁止で、取ったタグは相手に手渡しで返すまでプレーに参加できない。タグを2本とも付け、両足がインゴールに入った選手でなければトライにならない、という細かい約束もある。試合の始め方は「フリーパス」で、相手は5m下がり、最初にパスを受ける味方は2m以内にいなければならない。
タッチは、触れられたらその場でボールを足の間に置く「ロールボール」で再開し、守備側は7m下がる。ロールボールを拾った選手(ハーフ)はトライできないなど、競技としての作り込みが細かい。条番号つきのルールはタッチラグビーのルール記事で詳しく扱っている。
ざっくり言えば、タグラグビーは「鬼ごっこの延長で、誰でもすぐできる」ように設計された入門の形、タッチは国際大会とワールドカップを持つ独立した競技だ。FITの沿革によると、タッチのワールドカップは1988年にオーストラリアのゴールドコーストで初めて開かれ、日本代表もFITの記録で1999年以降の大会に出場している。2026年10月には第1回Asia Pacific Seniors Touch Cupが宇都宮で開かれた(大会結果のニュース)。
タッチ派の推しは、6回の攻撃をどう使うかという戦術の深さと、ワールドカップまでつながる競技の広がり。大人が本気で走れる。タグ派の推しは、体に触れないから年齢も体格も経験も混ぜて遊べる気軽さ。学校の体育で経験した人も多く、ボールとタグがあれば公園でもできる。
タグラグビーは学校で何をする競技?
小学校の体育で行うゴール型のボール運動として、国の解説書に名前が出ている。文部科学省の「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 体育編」では、中学年(3・4年)のゲームで「タグラグビー,フラッグフットボールなどを基にした易しいゲーム(陣地を取り合うゲーム)」、高学年(5・6年)のボール運動で「タグラグビーやフラッグフットボールなどを基にした簡易化されたゲーム」が例示されている。
日本ラグビーフットボール協会の「みんなでラグビー」によると、タグラグビーは1990年代のはじめにイギリスのデボン州で生まれ、日本では2008年の小学校学習指導要領改訂で解説に例示されて以来、学校現場に広がった。同協会は2023年度の調査として「全国の小学校の約7割で実施」と紹介し、2004年から小学生の全国大会(SMBCカップ)が続いている。ボールとタグセットは協会による貸し出しもある。
全国大会の規則を見ると、ボールは4号球、タグは協会規定サイズ(50mm×375mm)、靴は運動靴かトレーニングシューズで、スパイクは一体成型ゴム底のものに限り金属製の取替式ポイントは不可、と安全面の決まりがはっきりしている。体育で一度やったことがある大人は案外多い。ラグビーの入口として、実はいちばん身近なのがタグラグビーだ。
Q1タグラグビーで、タグを1本取られたままの選手がインゴールにボールを置いた。トライになる?答えを見る
ならない。日本ラグビーフットボール協会の説明では、トライできるのはタグを2本とも付けた選手だけで、両足がインゴールに入っていることも条件になる。タグを取られたら、手渡しで返してもらって腰に付け直すまでプレーに参加できない。
始めるならどれ?年齢と目的で選ぶ
迷ったら、子どもはタグラグビー、大人はタッチから。タックルを本格的にやりたいなら、15人制か7人制のクラブ・スクールへ。ルールの複雑さと接触の強さを目安にすると、次の順番がいちばん無理がない。
- 小学生・初めての人:タグラグビー体に触れないので、学年や男女を混ぜてもできる。協会の全国大会があり、学校の体育でも扱われている。必要なのは運動できる服と靴。
- 大人・走って楽しみたい人:タッチラグビー接触は軽く触れるだけで、男女混合のルールも整っている。FITルールの男女混合の試合では、フィールドの男性は最大3人。社会人チームや練習会から入れる。
- 夏のレジャー・砂の上で:ビーチタッチ10分程度の短い試合が基本で、イベントとして楽しみやすい。タックルのあるビーチ5人制とは区別して参加する。
- 本格的に接点もやりたい人:15人制・7人制タックルの技術と安全な姿勢を、指導者のもとで段階的に身につける。高さのルールなど最新の安全規定はタックルのコツの記事で確認できる。
オリンピックとの関係も整理しておく。五輪で行われているのは7人制ラグビーで、2016年リオ大会から実施され、2028年ロサンゼルス大会でも行われる。タッチラグビーは2026年10月時点でオリンピック実施競技に決まっていない。ブリスベン2032大会の競技プログラムはIOCが検討中で、2026年5月のAP通信の報道では、競技リストの確定は12月になる可能性があるとされている。また、2027年5月に関西で開かれるワールドマスターズゲームズ2027関西では、タッチラグビーがオープン競技として徳島県の実行委員会のページに掲載されている。
名前は似ていても、止め方が違えば別の競技になる。タックル、タッチ、タグ。どれもボールを持って走り、後ろへつなぐという芯は同じで、違うのは「どこまでぶつかるか」だけだ。ぶつからない形から入って、ラグビーを好きになってくれる人が増えるなら、それがいちばんうれしい。
止め方と人数と攻撃回数が違います。タッチラグビーは相手に触れて止め、6人制で6回タッチされると攻守交代です(FIT Playing Rules 第5版)。タグラグビーは腰のタグを取って止め、体に触れるのは反則で、日本ラグビーフットボール協会の全国小学生大会規則では5人制、タグ4回で攻守交代です。 形式によります。World Rugbyのルールでは、Beach Fives(5人制)はタックルあり、Beach Touchは触れるだけ、Beach Tagはタグを取る方式です。参加する大会の要項で、どの方式かを先に確認してください。 同じWorld Rugbyの競技規則を使い、7人制では人数が7人、試合時間が7分ハーフ(大会の決勝は最長10分ハーフ)、交代は5人まで、コンバージョンはドロップキックに置き換えられています。グラウンドの広さは15人制と同じです。 日本ラグビーフットボール協会は、年齢制限はなく幼児からシニアまで楽しめると案内しています。小学校では体育のゴール型の例示として、中学年と高学年の解説書に名前が挙がっています。 2026年10月時点で、オリンピックの実施競技には決まっていません。ブリスベン2032大会の競技プログラムはIOCが検討中です。五輪で行われているラグビー系の競技は7人制ラグビーです。タッチラグビーとタグラグビーの違いは?
ビーチラグビーはタックルがある?
7人制ラグビーと15人制の違いは?
タグラグビーは何歳からできる?
タッチラグビーはオリンピック競技?
参考:FIT Playing Rules 5th Edition(国際タッチ連盟、確認日2026-10-11)/全国小学生タグラグビー大会 大会規則(日本ラグビーフットボール協会、確認日2026-10-11)/タグラグビーとは(みんなでラグビー、確認日2026-10-11)/Variations – Sevens(World Rugby、確認日2026-10-11)/Modified forms – Beach Fives / Beach Touch(World Rugby、確認日2026-10-11)/小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 体育編(文部科学省、確認日2026-10-11)
