日本代表がウェールズ代表に勝ったのは、歴史上たった2回しかない。1973年の初対戦から数えて18試合、そのうち日本が笑ったのは2013年の秩父宮と2025年の北九州だけだ。ただし直近の3試合は1勝2敗で、点差は5点、9点、1点。もう「胸を借りる相手」ではなくなっている。2026年11月7日、カーディフで19回目の対戦がやってくる。全試合のスコア、記憶に残る3つの名勝負、そして今のウェールズと日本の状態まで、この1本で整理する。試合前に読めば、どこを見ればいいかが自分で判断できるはずだ。
- 日本代表とウェールズ代表の対戦は、日本ラグビーフットボール協会(JRFU)の記録で1973年から18試合あり、日本の2勝16敗(2026年11月1日時点)。
- ウェールズ側がキャップを与えた正式なテストマッチに限ると13試合で、日本の2勝11敗。日本の勝利は2013年6月15日の秩父宮(23-8)と2025年7月5日の北九州(24-19)。
- 2025年11月15日のカーディフでの対戦は、ウェールズが最後のPGで24-23と逆転勝ちした。
- 2026年11月7日の試合はネーションズチャンピオンシップの一戦で、プリンシパリティ・スタジアムで現地16時40分(日本時間8日1時40分)キックオフ。
- World Rugbyの世界ランキング(2026年10月26日付)はウェールズ10位(76.38点)、日本12位(76.23点)で、差は0.15点しかない。
Contents 目次
日本とウェールズの対戦成績は?キャップ対象13試合で日本の2勝11敗
答えは数え方で2通りある。JRFUの記録に残る全対戦は18試合で日本の2勝16敗。ウェールズ協会がキャップ(代表出場の公式記録)を与えた正式なテストマッチだけなら13試合で2勝11敗だ。どちらで数えても、日本の勝利は2回しかない。
差が出るのは1970〜80年代の5試合だ。1973年と1983年のカーディフ、1975年の日本遠征2試合は、相手がキャップを出さない「ウェールズXV」として戦った。1976年のスウォンジーはウェールズのクラブ選抜(Combined Clubs of Wales)が相手だった。日本側はどれも代表の試合として記録している。AIや検索で「対戦成績」を聞いたときに数字が食い違うのは、この扱いの違いが原因だ。
| 年月日 | 会場 | スコア(日本-ウェールズ) | 区分 |
|---|---|---|---|
| 1973年10月6日 | カーディフ・アームズパーク | 14-62 | ウェールズXV(キャップなし) |
| 1975年9月21日 | 花園(大阪) | 12-56 | ウェールズXV(キャップなし) |
| 1975年9月24日 | 国立競技場(東京) | 6-82 | ウェールズXV(キャップなし) |
| 1976年10月9日 | セント・ヘレンズ(スウォンジー) | 9-63 | ウェールズのクラブ選抜 |
| 1983年10月22日 | カーディフ・アームズパーク | 24-29 | ウェールズXV(キャップなし) |
| 1993年10月16日 | カーディフ・アームズパーク | 5-55 | テストマッチ |
| 1995年5月27日 | ブルームフォンテーン(南アフリカ) | 10-57 | W杯1995 |
| 1999年10月9日 | ミレニアム・スタジアム(カーディフ) | 15-64 | W杯1999 |
| 2001年6月10日 | 花園(大阪) | 10-64 | テストマッチ |
| 2001年6月17日 | 秩父宮(東京) | 30-53 | テストマッチ |
| 2004年11月26日 | ミレニアム・スタジアム | 0-98 | テストマッチ |
| 2007年9月20日 | ミレニアム・スタジアム | 18-72 | W杯2007 |
| 2013年6月8日 | 花園(大阪) | 18-22 | テストマッチ |
| 2013年6月15日 | 秩父宮(東京) | 23-8(日本勝利) | テストマッチ |
| 2016年11月19日 | プリンシパリティ・スタジアム(カーディフ) | 30-33 | テストマッチ |
| 2025年7月5日 | ミクニワールドスタジアム北九州 | 24-19(日本勝利) | テストマッチ |
| 2025年7月12日 | ノエビアスタジアム神戸 | 22-31 | テストマッチ |
| 2025年11月15日 | プリンシパリティ・スタジアム | 23-24 | テストマッチ |
2017年から2024年までは一度も対戦がない。2023年や2024年に試合があったように覚えている人もいるかもしれないが、記録上は2016年の次が2025年7月だ。なおカーディフのミレニアム・スタジアムとプリンシパリティ・スタジアムは同じ競技場で、命名権で名前が変わっている。
0-98から21年で、1点差まで来た。この表のいちばん下の数字は、日本ラグビーがどれだけ詰めてきたかの記録でもある。
名勝負はどれ?2013年秩父宮、2016年カーディフ、2025年の3連戦
選ぶなら、初勝利の2013年、3点差で散った2016年、そして1年に3回ぶつかった2025年だ。どれも点差が1桁で、最後の数分まで勝敗がわからなかった。
2013年6月15日 秩父宮:14試合目でつかんだ初勝利
エディー・ジョーンズHCの1期目。1週間前の大阪・花園では18-22で敗れていた。迎えた東京・秩父宮の第2戦で、日本は23-8で勝ち切る。ウェールズとの14回目の対戦で初めての白星だった。
この遠征のウェールズは、主力の多くがブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズのオーストラリア遠征に出ていて、監督もロビン・マクブライドが代行していた。だから「若手中心のウェールズ」と言われることもある。それでも全員がプロで、日本が勝ったことに変わりはない。2年後の2015年W杯で南アフリカを破るチームの、出発点のような試合だ。
2016年11月19日 カーディフ:ドロップゴール1本の3点差
ジェイミー・ジョセフHCの体制で初めて臨んだ欧州遠征。前半を13-14で折り返し、山田章仁、福岡堅樹、アマナキ・ロトアヘアがトライを奪った。最後はウェールズのサム・デイヴィスにドロップゴールを決められ、30-33で敗れた。観客は7万3,969人(JRFU発表)。アウェーのカーディフで3点差まで迫ったこの試合で、「次は勝てる」という空気が初めて生まれた。
2025年:北九州で勝ち、神戸で負け、カーディフで1点差
2025年7月5日、北九州での第1テストは24-19で日本の勝利。当時のウェールズはテストマッチ17連敗中で、ティア1(伝統的な強豪国)の連敗記録を更新していた。1週間後の神戸では22-31で敗れ、ウェールズの連敗は18で止まった。
そして11月15日のカーディフ。ウェールズは前半終了間際にWTBジョシュ・アダムズへのイエローカードが20分レッドカードに切り替わり、後半の頭を14人で戦った。日本は李承信の3PGと石田吉平、マキシ ファウルアのトライで何度もリードを奪い返した。後半だけでリードが6回入れ替わる展開の末、日本の反則からウェールズの途中出場ジャロッド・エヴァンズが試合最後のPGを決めて24-23。ウェールズにとってはホームでの10連敗を止め、スティーブ・タンディHCの初勝利になった一戦だ。20分レッドカードの仕組みは20分レッドカードの解説で掘り下げる。
6試合の点差を足すと、日本のプラス3点(日本140点、ウェールズ137点)。2勝4敗と負け越していても、得失点ではわずかに日本が上回る。
2026年11月7日の試合はいつ・どこで?ネーションズチャンピオンシップの4戦目
試合は2026年11月7日(土)、カーディフのプリンシパリティ・スタジアムで現地16時40分キックオフ、日本時間では8日(日)1時40分だ。JRFUが「リポビタンDツアー2026」として発表した欧州遠征の初戦にあたる。
| 項目 | 内容(JRFU・WRU発表、2026年11月1日時点) |
|---|---|
| 日時 | 2026年11月7日(土)16:40(日本時間8日1:40) |
| 会場 | プリンシパリティ・スタジアム(カーディフ) |
| 大会 | ネーションズチャンピオンシップ2026(日本は南半球側の組、ウェールズは北半球側の組) |
| 日本の位置づけ | プール戦6試合の4戦目。7月はイタリアに27-10で勝ち、アイルランドに20-36、フランスに15-42で敗れた |
| ウェールズの位置づけ | 7月はフィジーに39-24で勝ち、アルゼンチンに21-35、南アフリカに0-43で敗れた。11月は日本、ニュージーランド、オーストラリアとホームで戦う |
| その後 | 日本は14日イングランド、21日スコットランド、27〜29日のいずれかにロンドンで順位決定戦 |
ネーションズチャンピオンシップは、北半球6か国と南半球側6か国が相手の組の全チームと1試合ずつ戦い、最後に同じ順位どうしで順位決定戦を行う大会だ。勝ちは4点、4トライ以上か7点差以内の負けでボーナス点がつく。大会の仕組みと11月の日程はネーションズチャンピオンシップと11月欧州遠征の解説で詳しく解説する。
世界ランキングも見ておきたい。World Rugbyの2026年10月26日付ランキングでは、ウェールズが10位(76.38点)、日本が12位(76.23点)。日本は10月24日のフィジー戦に敗れて9位から順位を下げ、両国の差は0.15点しかない。ランキングの点数の動き方は世界ランキングの仕組みで解説している。
ウェールズの今は?タンディ体制とけが人の状況
ウェールズはスティーブ・タンディHCのもとで2年目に入り、主力にけが人を抱えたまま11月を迎える。タンディはスコットランドの守備コーチを離れ、2025年7月にウェールズのHCに就任した。
10月20日に発表された39人(FW22人、BK17人)のスコッドでは、ドラゴンズのアナイリン・オーウェンとSHチェ・ホープ、カーディフのPRリース・バラットの3人がキャップのないまま選ばれた。リオ・ダイアー、セブ・デイヴィス、テイン・バシャムも名を連ね、7月は不在だったトマス・フランシスやディヴィズ・ジェンキンズらも戻っている。2027年W杯は登録が33人に限られるため、11月は最後の見極めの場でもある。
けが人と選外の状況は、スコッド発表日(10月20日)のRugbyPassとrugby365の報道で確かめられる範囲で次のとおりだ。
- タウルペ・ファレタウ(No.8、109キャップ):けがから戻り、10月18日のチャンピオンズカップで3月以来の実戦に臨んだが、スコッドには入らなかった。11月で36歳。タンディHCは長い目で見て誰も除外していないと話している。
- キーラン・ハーディ(SH):ひざのけがで長期の離脱が見込まれ、代わりにノンキャップのチェ・ホープにチャンスが回った。
- ベン・トーマス(CTB):ふくらはぎのけがでスコッドから外れた。
- サム・コステロー(SO):発表直前の週末のニューカッスル戦で負傷したが、スコッドには名前が入った。
- トミー・レフェル(FL):所属のレスターで好調ながら選外。けがによる除外とは報じられていない。
どの選手も、まずは焦らず戻ってきてほしい。ウェールズのラグビーは、こういう選手たちが積み上げてきたものだ。
そのうえで注目は9番。昨年11月の日本戦でウェールズの9番を背負ったのはSHトマス・ウィリアムズだった(ESPNの試合記録)。今回はハーディの離脱でSHの顔ぶれが変わり、ノンキャップのホープが加わった。ゲームを動かす9番に、日本の守備がどこまで圧力をかけられるか。ここは見どころの一つだ。
Q12025年11月のカーディフで、ウェールズの勝ちを決めたのはどんな得点だった?答えを見る
途中出場のジャロッド・エヴァンズが試合最後のキックで決めたペナルティゴール(PG)だ。21-23とリードされていたウェールズが、これで24-23と逆転した。日本はその直前に反則を重ねていた。点差が詰まった試合ほど、最後の5分の規律が勝敗を分けることがよくわかる一戦だった。
日本代表はどんな状態で乗り込む?フィジー戦の教訓と遠征メンバー35人
日本は10月24日のフィジー戦に28-34で敗れ、欧州に渡った。秩父宮で行われたJRFU創立100周年記念試合で、前半は21-21。トライ数は4本ずつと互角だったが、後半にフィジーのベン・ヴォラヴォラに2本のPGを決められた。フィジーは前半34分にNo.8が危険なタックルでレッドカード(20分後に交代選手を入れられるもの)を受けた。日本はその約20分間に2トライを返したが、フィジーにも1トライを許し、突き放せなかった。詳しい経過は日本対フィジーの試合結果にある。
収穫もあった。LOワーナー・ディアンズが2トライ、FB松永拓朗は4本のコンバージョンを全部決めた。9月のパシフィックネーションズカップ(PNC)では決勝でフィジーを20-15で破り、7年ぶり4度目の優勝を果たしている。セットプレーの手応えは、選手たちのコメントからも伝わってくる。ディアンズの人物像はワーナー・ディアンズの解説で掘り下げる。
JRFUが10月26日に発表した遠征メンバーは35人(FW19人、BK16人)。PR竹内柊平とPR祝原涼介は11月2日から合流する。FL森山海宇オスティン、SO北原璃久、WTB時任凜空はノンキャップのまま選ばれた。一方、リーチ マイケルや李承信、江良颯ら15人はコンディションの都合で選考対象外とされた。
試合の見どころは3つ
- 最後の10分の規律2025年のカーディフは最後のPG、2026年のフィジー戦は後半の2PGで決まった。終盤に反則を与えないことが、そのまま勝敗に直結する。
- セットプレーで先手を取れるかPNCで手応えをつかんだスクラムとラインアウト、モール。アウェーのカーディフでも押し勝てるかが、試合の流れを決める。
- 9番どうしのテンポ争い日本は遠征メンバーにSH齋藤直人が入り、フィジー戦でも先制トライを挙げた。ウェールズは昨年11月に9番を背負ったトマス・ウィリアムズらSH陣。どちらが速い球出しで主導権を握るかに注目したい。
接戦に強くなった派は言う。直近3試合の点差は合計15点。北九州で勝ち、カーディフでも最後のキックまで勝っていた。ランキングもほぼ並んでいる。
アウェーはまだ別物派の反論。日本はウェールズに国外で一度も勝ったことがない。7万人規模の観客の中で、終盤に反則を与えずに戦い切れるかはまだ証明されていない。
18試合で2勝。それでも、2013年以降の6試合は2勝4敗で、得失点差は日本のプラス3点だ。日本がウェールズに国外で勝ったことは一度もなく、11月7日のカーディフはその記録に挑む試合でもある。両チームの試合登録メンバーは、試合前に各協会の公式サイトで発表される。誰が3番を背負い、誰が9番で先発するかを確かめてから、日本時間の深夜1時40分を待ちたい。
ラグビー日本代表とウェールズ代表の対戦成績は?
JRFUの記録では1973年から18試合で、日本の2勝16敗(2026年11月1日時点)。ウェールズがキャップを与えた正式なテストマッチに限ると13試合で日本の2勝11敗になる。日本の勝利は2013年6月15日の秩父宮(23-8)と2025年7月5日の北九州(24-19)だ。
日本がウェールズに初めて勝ったのはいつ?
2013年6月15日、東京・秩父宮ラグビー場で23-8で勝ったのが初勝利。エディー・ジョーンズHCの1期目で、ウェールズとの14回目の対戦だった。
2026年の日本対ウェールズは何時から?
2026年11月7日(土)にカーディフのプリンシパリティ・スタジアムで、現地16時40分キックオフ。日本時間では11月8日(日)の1時40分だ(JRFU発表)。
日本対ウェールズはどの大会の試合?
ネーションズチャンピオンシップ2026のプール戦で、日本にとっては6試合中の4戦目にあたる。日本はこのあと11月14日にイングランド、21日にスコットランドと戦い、27〜29日のいずれかにロンドンで順位決定戦に臨む。
参考:JRFU 男子日本代表ヨーロッパ遠征「リポビタンDツアー2026」実施のお知らせ/JRFU リポビタンDツアー2026 参加メンバーのお知らせ/JRFU 日本代表対フィジー代表 公式試合記録(2026年10月24日)/JRFU Wales Tour to Japan 2013(対戦記録)/World Rugby 男子世界ランキング(2026年10月26日付)/RugbyPass: Wales 39-man squad(2026年10月20日)/rugby365: Wales drop Faletau(2026年10月20日)(いずれも2026年11月1日確認)
