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ワーナー・ディアンズとは?身長・経歴・ハリケーンズでの優勝…日本代表主将の“現在地”

201センチの日本代表主将は、2026年にハリケーンズでスーパーラグビー優勝を経験した。19歳での初キャップから37キャップまでの歩み、2メートルの身体の使い方、9月の選外とリーグワン復帰までを整理する。

Text — LEO Updated — Read — 8分
ワーナー・ディアンズとは?|身長・経歴・ハリケーンズでの優勝…日本代表主将の“現在地”

2026年6月20日、ウェリントン。スーパーラグビー・パシフィック決勝でハリケーンズがチーフスを60-5で粉砕したとき、背番号5を着て先発していたのが日本代表のワーナー・ディアンズだった。生まれた街のクラブで、10年ぶりの優勝の輪の中にいた。その2週間後には秩父宮で桜のジャージを着て、キャプテンとしてイタリアから白星をもぎ取っている。201センチの24歳は、いまどこに立っているのか。経歴と数字、そして2メートルの身体をどう使っているのかを、プレー別にほどいていく。

Pointこの記事の結論

  • ディアンズは2002年ウェリントン生まれ、流経大柏高から東芝ブレイブルーパス東京へ。19歳で日本代表デビューし、2025年8月から代表キャプテンを務めてきた。
  • 2026年はハリケーンズへの1シーズン期限付き移籍でスーパーラグビー優勝。6月20日の決勝(60-5)に背番号5で先発した。
  • 日本代表キャップは37(2026年8月15日のオーストラリア戦終了時点)。9月の代表活動はコンディションを考慮して選外となり、PNC優勝の輪にはいなかった。
  • 2026-27シーズンは東芝ブレイブルーパス東京に戻る見込み。12月12日開幕のリーグワンで、再び“府中の2メートル”が見られる。

Contents 目次
  1. まずは数字で。201センチ、117キロ、37キャップ
  2. ウェリントン生まれ、14歳で日本へ
  3. ハリケーンズで何を得たのか
  4. 2メートルの身体の使い方を、プレー別にほどく
  5. ボールキャリー:最後の1メートルで沈む
  6. ディフェンス:チョークタックルという武器
  7. ラインアウト:届く高さと、届かせる速さ
  8. キックオフレシーブと、そこからのラン
  9. キャプテンとしての1年
  10. 9月の選外と、ここから先

まずは数字で。201センチ、117キロ、37キャップ

基本情報から押さえておく。ラグビーリパブリックが2026年7月に掲載した日本代表メンバー表では、身長201センチ、体重117キロ。ハリケーンズが加入発表時に出したプロフィールは2.02メートルとなっていて、媒体によって1センチ前後の差がある。どちらにしても、日本代表のロッカールームで一番高い場所に頭がある男だ。

5
Warner Dearns
ワーナー・ディアンズ
ポジション
LO(ロック)
生年・出身
2002年4月11日・ニュージーランド ウェリントン出身
所属
東芝ブレイブルーパス東京(2026年はハリケーンズへ期限付き移籍)
代表キャップ
37(2026年8月15日時点)

出典:日本ラグビーフットボール協会、ハリケーンズ公式、ラグビーリパブリック

キャップ数は少しややこしい。日本ラグビー協会の公式サイトは「2026年8月6日時点」で35キャップと掲載している。その後、8月8日(花園、32-35)と8月15日(タウンズビル、17-56)のオーストラリア2連戦にもキャプテンとして出場しているので、2026年9月時点では37キャップになる。協会の表が更新されたら、そちらを正としてほしい。

37キャップディアンズの日本代表キャップ数(2026年8月15日のオーストラリア戦終了時点。協会公表の8月6日時点では35)

ポジションについても一言。ロック(LO)は背番号4と5、スクラムの2列目を組む選手のこと。スクラムでは前の3人の尻を肩で押し、ラインアウトでは持ち上げられて空中でボールを奪い、フィールドではひたすらぶつかり続ける。役割の全体像はポジションと役割の解説にまとめてあるので、初めての人は先にそちらを。

ウェリントン生まれ、14歳で日本へ

ディアンズはニュージーランドの首都ウェリントンで生まれた。父のグラントも元ラグビー選手で、日本のチームでコーチを務めることになり、一家で日本に渡った。本人が14歳のときだ。ハリケーンズのヘッドコーチは加入発表の際、姉妹がウェリントンに住み、母がワイララパ・ブッシュ協会のトップを務め、父もホークスベイに関わってきたと家族のつながりを紹介している。つまり2026年のハリケーンズ入りは、ただの武者修行ではなく“里帰り”の側面もあった。

日本では千葉の流通経済大学付属柏高校へ。第100回全国高校ラグビー大会で優秀選手に選ばれ、2021年に東芝ブレイブルーパス(現・東芝ブレイブルーパス東京)へ加入した。ここからのスピードが異常だった。

  1. 2021年11月13日:19歳で初キャップチームの公式戦に1試合も出ていない段階で日本代表に呼ばれ、欧州遠征のポルトガル戦に途中出場。
  2. 2022年1月8日:当時のリーグワン最年少トライ開幕節のサンゴリアス戦に先発し、19歳8か月でトライ(この試合で2トライ)。トップリーグ時代の最年少記録(19歳10か月)も上回った。なお、リーグワンの最年少記録は2026年1月に更新されている。
  3. 2023年:W杯フランス大会直前の国内テストマッチはケガで出られなかったが、本大会のプール戦4試合すべてに出場。
  4. 2024年8月25日:PNCカナダ戦で2トライプレイヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれる。
  5. 2025年8月:日本代表の共同キャプテンに原田衛とともに指名され、8月30日のカナダ戦で初めてゲームキャプテンを務めた。

クラブではリーグワン2連覇(2023-24、2024-25)を経験し、ベストフィフティーンには2022-23から3季連続で選ばれている。二十歳そこそこで国内の“最優秀ロック枠”を3年続けて埋めた、と言い換えてもいい。

ハリケーンズで何を得たのか

2025年6月25日、東芝ブレイブルーパス東京とハリケーンズが、2026年シーズン限りの期限付き移籍を発表した。スーパーラグビーデビューは2026年2月20日、第2節のモアナ・パシフィカ戦。相手ベンチには、同じく東芝からモアナ・パシフィカへ渡った原田衛がいた。

そしてシーズンの終着点が6月20日のグランドファイナルだ。ハリケーンズはチーフスを60-5で下し、10年ぶりの優勝。Super Rugby Pacific公式サイトは、決勝として史上最大の点差だったと伝えている。ディアンズはこの試合に背番号5で先発した。オールブラックスのジョーディー・バレットやキャム・ロイガードと同じメンバー表に名前が並んでいる。

ハリケーンズ対チーフス 2026年スーパーラグビー・パシフィック決勝ハイライト(Super Rugby Pacific) YouTubeで見る

何が変わったのか。数字で示せる材料は正直まだ少ない。個人的に注目しているのは「接点に入るまでの判断の速さ」だ。ニュージーランドのチームは、ボールキャリア(ボールを持って走る選手)もサポートも、ラックができてから考えるのではなく、できる前に次の立ち位置へ動いている。長い脚で一歩目が大きいディアンズは、この“先回り”が噛み合うと異様に効く。

2メートルの身体の使い方を、プレー別にほどく

「デカいから強い」で片づけると、この選手の面白さを取りこぼす。長身ロックには、長身ゆえの弱点がある。重心が高くなり、低いタックルに脚をすくわれやすい。ラックの中では頭の位置が相手より上がりやすい。ディアンズのいいところは、その弱点を消す動きを持っていることだ。

ボールキャリー:最後の1メートルで沈む

ラックサイド(ラックのすぐ横)を突くとき、ディアンズは相手に触れる直前でぐっと膝を曲げる。遠目には立って走っているように見えても、コンタクトの瞬間の肩の高さは相手の胸あたりまで下がっている。2025年8月30日のPNCカナダ戦、10-10で膠着していた前半終盤に勝ち越しトライを挙げたのも、ラックサイドを力でこじ開けたプレーだった。長いストライドで加速し、最後にだけ低くなる。これができる2メートルは多くない。

ディフェンス:チョークタックルという武器

同じカナダ戦の後半には、相手を立たせたまま抱え込むチョークタックルでボールを奪い、そこから流れを決定づけた。チョークは、相手を倒さずにボールを殺してターンオーバー(攻守交代)を狙うタックル。腕が長く、上体を相手に覆いかぶせられる長身選手ほど決めやすい。倒すタックルと違って、その場で“奪える”のが魅力だ。

ラインアウト:届く高さと、届かせる速さ

ハリケーンズのヘッドコーチは加入発表時、ディアンズの長所としてセットピース、とりわけラインアウトを挙げていた。ラインアウトは、投げ手(フッカー)とジャンパーとリフター(持ち上げ役)の三者のタイミング勝負。背が高いだけでは足りず、どれだけ速く最高到達点に上がれるかで決まる。ディアンズは上がってから落ちてくるまでの時間が長く、投げ手にとって“的が大きい”ジャンパーだ。投げる側の技術についてはラインアウトスローの投げ方と練習法で詳しく解説する。

キックオフレシーブと、そこからのラン

地味に効いているのがキックオフの処理だ。空中でボールを確保したあと、そのまま前へ走り出せる。前述のカナダ戦でも、キックオフのレシーブから30メートル以上前進する場面があった。ロックがボールを持って大きく前に出ると、相手のディフェンスラインは一気に下がらざるを得ない。ゲインライン(攻防の境目になる線)を越える回数が増えるほど、後ろのハーフ団(9番と10番)は楽になる。

Q1ディアンズが日本代表で初めてキャップを獲得した試合の相手は?答えを見る

答えはポルトガル。2021年11月13日、欧州遠征のテストマッチで途中出場した。このときディアンズは19歳で、所属チームではまだ公式戦に出ていなかった。

キャプテンとしての1年

2025年8月、リーチ マイケルが個人的な事情でPNCに参加しないことになり、エディー・ジョーンズHCはディアンズと原田衛を共同キャプテンに指名した。その後ディアンズは、同年の日本代表の試合でキャプテンを務め続けた。2026年もハリケーンズでのシーズンを終えて合流すると、7月のネーションズチャンピオンシップ3試合、8月のオーストラリア2連戦、計5試合すべてで主将として出場している。

7月4日のイタリア戦(27-10)では前半11分に自らトライ。日本がイタリアに勝ったのは2018年以来だった。8月8日のオーストラリア戦でも終盤の78分にトライを挙げたが、32-35と3点届かなかった。1週間後のタウンズビルでは17-56の大敗。試合後、ディアンズはこう振り返っている。

アタックしている中で相手にブレイクダウンでプレッシャーをかけられて、ターンオーバーを何回も許した— ワーナー・ディアンズ(ラグビーリパブリック、2026年8月15日)

ブレイクダウン(タックル後のボール争奪局面)で負けた、という言い方は、言い訳の余地がない敗因を自分たちで名指ししている。キャプテンとして一番言いにくいことを、最初に言えるタイプだ。

9月の選外と、ここから先

ここは正確に書いておきたい。日本ラグビー協会が8月24日に発表した宮崎・大阪合宿のメンバーに、ディアンズの名前はなかった。ラグビーリパブリックの報道では、直近のテストマッチでゲームキャプテンを担ったディアンズやリーチ マイケルら6名が「コンディションを考慮して」選外になった。スーパーラグビーの長いシーズンから休みなく代表の5連戦(7月のネーションズチャンピオンシップ3試合と8月のオーストラリア2連戦)を戦った選手の負担を考えれば、自然な判断に見える。ケガの有無など、それ以上の詳細は公表情報では確認できていない。

9月の3試合はSH齋藤直人がキャプテンを務め、日本はPNCで7年ぶりの優勝を果たした。9月21日付の世界ランキングでは9位に上がっている。ランキングの仕組みは世界ランキングの解説を参照してほしい。

次の代表戦は10月24日の秩父宮でのフィジー戦、そして11月の欧州遠征。2026年9月25日時点で、このシリーズの代表メンバーはまだ発表されていない。一方でクラブでは、東芝ブレイブルーパス東京のトッド・ブラックアダーHCが6月11日の定例会見(チケットぴあの記事で報道)で、原田とディアンズについて「チームに合流するのは来季のリーグワン開幕の1週間前になるだろう」と話している。リーグワン2026-27は12月12日開幕。府中の2メートルが帰ってくる。

W杯2027オーストラリア大会まで、残りは1年と少し。日本の組み合わせと日程はプールEの日程と勝ち点シナリオにまとめた。本番を迎えるときでもディアンズは25歳。2度目のW杯でも、まだキャリアの前半にいる。ハリケーンズで優勝を知り、キャプテンとして大敗も知った。この1年で積んだものが本番でどう出るか。そこを楽しみにしている。

参考:ラグビーリパブリック(2026年7月3日)/日本ラグビーフットボール協会 日本代表キャップ保持者/Super Rugby Pacific 公式(2026年6月20日)/Hurricanes 公式(2025年6月25日)/ラグビーリパブリック(2026年8月24日)/ラグビーリパブリック コラム(2025年9月4日)

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LEOEditor-in-Chief

埼玉工業大学深谷高等学校(埼工大深谷。現・正智深谷)ラグビー部出身。WTB→CTB→FLと渡り歩き、在籍中のチームは花園2年連続ベスト4。いまはラグビージャージのデザイン制作(HERCULEGEAR)に携わりながら、ラグビーの面白さを書いています。

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