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ラグビーの体力テスト「ブロンコ」「ヨーヨー」とはやり方と、走力の測り方の違い

1200mを休まず往復するブロンコと、10秒の休みをはさんで速度が上がるヨーヨー。ラグビーの2大持久力テストのやり方を論文で確認し、試合の走行データ、プロ選手の平均記録の読み方、夏場の安全まで整理した。

Text — LEO Updated — Read — 10分
ラグビーの体力テスト「ブロンコ」「ヨーヨー」とは|やり方と、走力の測り方の違い
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1200mを走るだけ。数字にすると、それほどきつそうには見えない。でもラグビー選手に「ブロンコ」と言うと、たいてい顔が曇る。一方の「ヨーヨー」は、10秒の休みがあるのに、最後は足が前に出なくなる。どちらもラグビーの現場で使われる持久力テストだが、測っているものは少し違う。この記事では、2つのテストのやり方を論文で確かめた数字で整理し、試合の走行データや、結果の数字の読み方、夏場の安全まで順番に並べていく。

Pointこの記事の結論

  • ブロンコは20m・40m・60mの往復を1セットにして5セット、合計1200mを休みなしで走り、タイムを測るテスト
  • Yo-Yo間欠性回復テストは20mの往復(2×20m)ごとに10秒の軽い移動(2×5m)をはさみ、音に合わせて速度が上がっていく。レベル1は時速10km、レベル2は時速13kmから始まる
  • ブロンコは「自分でペースを配分する持久走」、ヨーヨーは「決められたスピードで走り、短い休みで立て直す力」を見る色が強い
  • 目安タイムは団体や年代で違う。研究で報告された平均値は参考になるが、自分の数字は「前回の自分」と比べるのが基本。暑い日はテストをずらす判断も含めて準備だ

Contents 目次
  1. ブロンコは「1200mを休まず往復する」だけ
  2. 記録の測り方
  3. ヨーヨーは「10秒で立て直せるか」を見る
  4. レベル1とレベル2、何が違う?
  5. 2つのテスト、並べると性格が見える
  6. 試合では、どれくらい走っている?
  7. 数字はどう見ればいい?
  8. ブロンコ:スーパーラグビー選手の10年分
  9. ヨーヨー:レベル1の距離
  10. テストの日に一番大事なのは、無理をさせない判断

ブロンコは「1200mを休まず往復する」だけ

ブロンコテストの中身はシンプルだ。スタートラインから20m先まで走って戻る。次は40m先まで行って戻る。最後に60m先まで行って戻る。この3本、合計240mで1セット。これを5セット、休みなしで続けて合計1200m。ゴールまでのタイムが記録になる。

ニュージーランドのプロ選手を対象にした研究(Teeceら、2021年)でも、プロトコルは「20mシャトル、40mシャトル、60mシャトルで1反復、それを5反復、休みなしでできるだけ速く」と説明されている。同じ研究では、毎回同じ標準サイズのラグビー場で実施し、手持ちのストップウォッチでタイムを取り、テスト日の気温と湿度まで記録していた。

1200mブロンコテストで走る総距離(20m・40m・60mの往復×5セット)

数字だけ見れば、陸上の1500mより短い。ところが、ブロンコには直線の気持ちよさがない。1セットで6回、5セットで30回、ラインにタッチして切り返す。止まる、向きを変える、また加速する。これがじわじわ脚を削る。

もうひとつの特徴は、ペースを自分で決めること。音の合図はない。序盤に飛ばしすぎると3セット目あたりで一気に苦しくなるし、抑えすぎればタイムが伸びない。同じ体力でも、配分の上手い下手でタイムが動く。ここがブロンコのいやらしさで、面白さでもある。

記録の測り方

計測はストップウォッチで十分できる。ただし比べるなら条件をそろえたい。

  1. コースを正確に引くスタートラインから20m・40m・60mの地点にマーカーを置く。距離がずれると、タイムの比較ができなくなる
  2. ウォームアップを決めておく先の研究では、各自のウォームアップの後に、40mをテンポを上げながら走る流し、ダイナミックストレッチ、方向転換の動きといった決まった手順を入れていた。毎回同じ流れにそろえるのがコツ
  3. ラインタッチのルールを統一する「足でラインを越える」「手でタッチする」など、チーム内で1つに決める。1回の手抜きは小さくても、30回重なると差になる
  4. 気温・湿度・グラウンドをメモする天然芝か人工芝か、雨上がりか。数字と一緒に残しておくと、次に比べるときの言い訳ではなく根拠になる

ヨーヨーは「10秒で立て直せるか」を見る

Yo-Yo間欠性回復テスト(Yo-Yo Intermittent Recovery Test、以下ヨーヨー)は、止まっては走る「間欠的」な競技の体力を測るために生まれたテストだ。Bangsboらのレビュー(Sports Medicine、2008年)では、サッカーやバスケットボールと並んでラグビーでも使われてきたと紹介されている。

やり方はこうだ。20m先のラインまで走って戻る(2×20m)。戻ってきたら10秒間の軽い移動(2×5mのジョグ)で息を整える。そしてまた音に合わせて次の往復。スピードは段階的に上がっていき、決められた時間にラインへ届かなくなったら終わり。ヨーヨーの研究結果を集めた系統的レビュー(Schmitzら、Frontiers in Physiology、2018年)では、ラインに間に合わないことが2回、または本人の消耗による中断を終了としている。結果は走った距離(m)で表す。

ブロンコとの一番の違いは、ペースを自分で選べないこと。音が速度を決める。そしてその速度が、じわじわ上がり続ける。

レベル1とレベル2、何が違う?

ヨーヨーには2つのレベルがある。違いはスタートの速さと、速度の上がり方だ。

項目 レベル1(IR1) レベル2(IR2)
1本の距離 2×20m(往復40m) 2×20m(往復40m)
往復ごとの休み 10秒(2×5mの軽い移動) 10秒(2×5mの軽い移動)
開始速度 時速10km 時速13km
序盤の上がり方 最初の4本で時速10〜13km、続く7本で13.5〜14km 13km、15km、16km×2本、16.5km×3本、17km×4本
その後 8本ごとに時速0.5km上がる 8本ごとに時速0.5km上がる
かかる時間の目安(トレーニングを積んだ人) 10〜20分 5〜15分
ねらい 有酸素系を最大まで使いながら、間欠的に走り続ける力 無酸素系の貢献が大きい、強度の高い走りをくり返して回復する力

速度の段階はSchmitzら(2018年)のレビュー、所要時間とねらいはBangsboら(2008年)のレビューによる。Bangsboらは、あまりトレーニングを積んでいない人ではレベル1でも同じような高い負荷になると書いている。つまり、中高生や競技を始めたばかりの人ならまずレベル1、というのが自然な選び方だろう。

レベル2は、始まった瞬間からかなり速い。最初の1本が時速13km、2本目で15km。ウォームアップ気分で入ると、あっという間に置いていかれる。心拍数も、Bangsboらのレビューではレベル1・2どちらも終了時には最大心拍数とほぼ同じ水準まで上がると報告されていて、レベル2の方が上がり方が速い。

Q1Yo-Yo間欠性回復テストで、往復と往復の間にある休みは何秒?答えを見る

答えは10秒。その間に2×5mの軽い移動をする。立ち止まって休むのではなく、歩くかジョグでスタート位置に戻ってくる時間だ。ちなみに、休みを5秒に縮めた「間欠性持久(Intermittent Endurance)」という別の種類もある。名前が似ているので、記録を比べるときはどのテストの数字か必ず確認したい。

2つのテスト、並べると性格が見える

ブロンコ ヨーヨー(IR1/IR2)
ペース 自分で決める 音声が決める
休み なし 往復ごとに10秒
距離 1200mで固定 限界まで(人によって違う)
記録 タイム(速いほど良い) 距離(長いほど良い)
必要な道具 マーカー、ストップウォッチ マーカー、専用の音源
切り返し 20m・40m・60mで向きを変える 毎回20mで向きを変える

ブロンコは「距離が決まっていて、何分で終われるか」。ヨーヨーは「速度が決まっていて、どこまで粘れるか」。似ているようで、ゴールの形が逆だ。

ブロンコは音源がいらない。マーカーとストップウォッチがあれば、学校のグラウンドでもできる。そのぶん配分のうまさが混ざる。ヨーヨーは音に合わせる分、配分の要素は小さく、回復の速さがはっきり出る。どちらが上という話ではなく、何を見たいかで使い分けるものだ。

ストップウォッチ

ブロンコはマーカーとストップウォッチがあれば測れる。チームで何人も続けて測るなら、ラップやスプリットを記録できて、ボタンが押しやすいものだと記録を残しやすい。

試合では、どれくらい走っている?

テストの意味をつかむには、試合でどんな走り方をしているかを見るのが早い。

日本のデータでは、トップリーグの1チームを2013〜2015年の3シーズン(公式戦45試合)GPSで追った研究(Yamamotoら、BMJ Open Sport & Exercise Medicine、2020年)がある。80分フル出場した選手のデータ(延べ298件)で、1試合の総走行距離はFWが平均約5731m、BKが約6392m。時速18km以上の高速走行は、FWが約317m、BKが約715mだった。

もっと若い世代では、イングランドの学校・大学の試合を調べた研究(Readら、2016年)がある。試合時間70分のU18では、1試合の総走行距離がFW平均4232m、BK平均4489m。秒速5.83m(時速約21km)を超えるスプリントは、FW94m、BK319mだった。

対象 ポジション 総走行距離(平均) 高速走・スプリント(平均)
日本トップリーグ1チーム(80分出場、2013〜15年) FW 5731m 317m(時速18km超)
同上 BK 6392m 715m(時速18km超)
イングランドU18(試合時間70分) FW 4232m 94m(秒速5.83m超)
同上 BK 4489m 319m(秒速5.83m超)

速度の区切り方が研究ごとに違うので、高速走の数字どうしを直接比べることはできない。それでも見えてくるのは、総距離の大半は歩き・ジョグで、その合間に短くて速い走りが何度も差し込まれるという形だ。ReadらのU18データでも、FW・BKとも総距離の約半分が「歩き」の区分(秒速1.94m以下)だった。

しかもラグビーには、走りの合間にコンタクトがある。Yamamotoらの研究では、10Gを超える強い衝撃がFWで1試合平均約48回、BKで約36回記録されていた。タックルして、立ち上がって、次のディフェンスラインに戻る。ブレイクダウン(タックル後のボール争奪)に体を入れて、また走る。この「きついことの後に、短い時間で立て直す」くり返しこそ、ヨーヨーの10秒休みが再現しようとしているものに近い。

ポジションごとの役割の違いはポジションと役割の記事で、FWの中でも特に運動量が求められる7番・6番についてはフランカーの記事で掘り下げている。

数字はどう見ればいい?

一番気になるのは「何分なら合格?」「何m走れば十分?」だと思う。先に言っておくと、目標タイムや基準値はチーム・団体・年代・ポジションによって違う。日本の統一基準として確認できる公表値は見つからなかったので、この記事では書かない。代わりに、研究で報告された数字を「どんな集団の平均か」とセットで置いておく。

ブロンコ:スーパーラグビー選手の10年分

2026年にJournal of Strength and Conditioning Researchに掲載された研究(Weakleyら)は、スーパーラグビーの男女462人・延べ1668回分のブロンコ記録を10年分まとめたものだ。

グループ 平均タイム 平均速度(筆者計算)
男子 全体 5分11秒 時速約13.9km
男子 BK 4分57秒 時速約14.5km
男子 FW 5分21秒 時速約13.5km
女子 全体 6分19秒 時速約11.4km
女子 BK 5分52秒 時速約12.3km
女子 FW 6分38秒 時速約10.9km

平均速度は1200mをタイムで割っただけの数字で、切り返しの減速も含んだ平均だ。男子ではハーフ団(SHとSO)が最も速いグループで、フロントロー(1〜3番)は一貫して最も遅いグループだった。

ここで勘違いしたくないのは、フロントローが「体力がない」わけではないということ。体重の重い選手がそろい、スクラムとコンタクトで押し勝つのが仕事のポジションだ。重い体で30回切り返すのは、それだけで重労働になる。プロップのタイムをバックスと同じ物差しで測っても意味は薄い。

ヨーヨー:レベル1の距離

ニュージーランドのスーパーラグビー選手39人を調べた研究(Posthumusら、2020年)では、ヨーヨー・レベル1の平均距離はFWが1516.5m、BKが2237.5mで、全体平均は1812.3mだった。ここでもBKの方が長く走っている。

プロでもFWとBKでこれだけ差がある。だから、自分の数字をポジションの違う仲間と並べて落ち込む必要はない。見るべきは前回の自分との差だ。Krustrupら(2003年)は、レベル1をくり返し測ったときの変動係数(ばらつきの目安)を4.9%と報告している。筆者の概算だが、1000m前後の人なら数十mの上下は誤差の範囲に入りうる。そのくらいに受け止めておくと、数字に振り回されない。

ブロンコ派VSヨーヨー派

ブロンコ派の言い分は「道具がいらない、ラグビー場ひとつでチーム全員をすぐ測れる。1200mという決まった距離を、自分の頭で配分して走り切る。それ自体が試合の80分と同じだ」。ヨーヨー派は「試合は休みなしでは走らない。タックルの後、ラインアウトの前、短い間に息を整えてまた全力。10秒の休みがあるからこそ、回復力の差がはっきり出る」。どちらも正しい。見たいものが違うだけだ。

テストの日に一番大事なのは、無理をさせない判断

どちらのテストも、最後は限界まで追い込む。だからこそ、始める前の判断で結果以上のものが決まる。

まずは暑さ。日本ラグビーフットボール協会は2026年8月10日、熱中症予防対策の緊急通達を出した。リーグワンの選手が熱中症で亡くなったことを受けたもので、WBGT(暑さ指数)計を使って原則15分間隔で測定・記録すること、WBGT31℃以上では原則として練習や試合などすべての活動を中止または延期すること、重症が疑われる場合はすぐに119番通報し、救急車が来るまで全身の冷却を始めることを求めている。季節の変わり目でも暑い日はある。テストの日程は、数字を取ることより選手の命が先だ。

WBGT計(暑さ指数計)

日本協会の通達はWBGT計で原則15分間隔に測り、記録することを求めている。屋外のグラウンドで測れるタイプかを確認する。中止・延期の判断は通達と指導者の基準に従う。

次に体調。発熱や寝不足、前日の試合のダメージが残っている日に最大テストをしても、正確な数字は出ない。頭を打った後の復帰途中なら、なおさら指導者と医師の判断に従う。タックルや頭部の安全についてはタックルの記事でも触れている。

  • テスト前に体調を自己申告できる雰囲気をつくる(「今日はやめておく」と言えること)
  • 水をすぐ飲める場所に置き、終わった後も一人にせず、しばらく様子を見る
  • 気分の悪さ、ふらつき、いつもと違う受け答えがあれば中止し、協会のマニュアルに沿って対応する

そして足元。20m・40m・60mで何十回も切り返すので、滑るグラウンドやすり減ったスパイクは踏ん張りがきかない。自分の足とポジションに合う一足はスパイクの選び方の記事が参考になる。


ブロンコは「距離が決まった中で、どう配分するか」。ヨーヨーは「決められたスピードに、何回ついていけるか」。どちらもきつい。でも、きつさの種類が違う。テストの数字は、試合で最後の1本を走れるかどうかを、少しだけ前もって教えてくれるものだ。人と比べるためではなく、自分の体の声を聞くために使ってほしい。

参考:Teece et al. (2021) Sleep and Performance during a Preseason in Elite Rugby Union Athletes/Weakley et al. (2026) A 10-Year Analysis of the Bronco Fitness Test in Super Rugby Athletes/Bangsbo et al. (2008) The Yo-Yo Intermittent Recovery Test/Schmitz et al. (2018) The Yo-Yo Intermittent Tests: A Systematic Review/Yamamoto et al. (2020) In-match physical demands on elite Japanese rugby union players/日本ラグビーフットボール協会 熱中症予防対策の緊急通達(2026年8月10日)

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LEOEditor-in-Chief

埼玉工業大学深谷高等学校(埼工大深谷。現・正智深谷)ラグビー部出身。WTB→CTB→FLと渡り歩き、在籍中のチームは花園2年連続ベスト4。いまはラグビージャージのデザイン制作(HERCULEGEAR)に携わりながら、ラグビーの面白さを書いています。

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