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リーチ マイケルは今何キャップ?30代後半でも日本代表に残り続ける理由を元ラガーマンが読み解く

日本代表97キャップ、歴代最多の大野均まであと1。38歳になったリーチ マイケルは2026年、控えの「20番の職人」を目指すと宣言した。ベストタックラーの数字、増量の決断、W杯5大会目の可能性まで整理する。

Text — LEO Updated — Read — 6分
リーチ マイケルは今何キャップ?|30代後半でも日本代表に残り続ける理由を元ラガーマンが読み解く

日本代表の歴代最多キャップは、大野均の98。その一つ下に、いまも現役の選手がいる。リーチ マイケル、97キャップ(2026年8月15日時点)。10月7日で38歳になった。2026年7月、彼は代表で先発ではなくリザーブ(控え)に回り、自分の目標を「20番の職人」と言い切った。W杯4大会に出て、うち2大会でキャプテンを務めた男が、なぜベンチからの役割に本気で向き合っているのか。そして、なぜ代表はまだ彼を呼ぶのか。

Pointこの記事の結論

  • リーチ マイケルの日本代表キャップは97(2026年8月15日時点)で歴代2位。1位の大野均(98)まであと1。
  • W杯は2011・2015・2019・2023の4大会に出場。2027年に出れば5大会目で、これはW杯の歴史でも3人しかいない記録に並ぶ。
  • 2026年は7〜8月の5試合に出場し、主にリザーブで流れを変える役割を担った。9月の代表活動はコンディションを考慮して選外。
  • 残り続ける理由は「接点の仕事量」と「短時間で出せるインパクト」。2024-25リーグワンのベストタックラーという数字が裏付けている。

Contents 目次
  1. 97キャップ。大野均まで、あと1
  2. 2026年の役割は「20番の職人」
  3. 37歳で増量を決めた理由
  4. 数字で見る“接点の強さ”
  5. 主将のバトンを渡したあとで
  6. 若いバックローと何が違うのか
  7. 9月の選外と、W杯2027まで

97キャップ。大野均まで、あと1

まず数字から。日本ラグビー協会の歴代キャップ一覧では、2026年8月6日時点で1位が大野均の98、2位がリーチの95。その後の8月8日(花園)と15日(タウンズビル)のオーストラリア2連戦にリーチは出場し、97まで伸ばした。所属する東芝ブレイブルーパス東京の公式サイトでも「日本代表(97)※8/15現在」となっている。

97キャップリーチ マイケルの日本代表キャップ数(2026年8月15日時点、歴代2位)
6・8
Michael Leitch
リーチ マイケル
ポジション
FL/No.8
生年・出身
1988年10月7日・ニュージーランド クライストチャーチ出身
所属
東芝ブレイブルーパス東京
代表キャップ
97(2026年8月15日時点)

出典:東芝ブレイブルーパス東京公式、日本ラグビーフットボール協会

15歳でクライストチャーチから札幌山の手高校に留学し、東海大学を経て東芝へ。日本代表の初キャップは2008年11月16日のアメリカ戦だ。2013年に日本国籍を取得し、登録名を「マイケル・リーチ」から「リーチ マイケル」に変えている。

W杯は2011年から2023年まで4大会連続で出場。2015年は主将として南アフリカを破った大会、2019年は主将として日本を初のベスト8に導いた大会だ。この2つについては、歴代最強の日本代表XVでも触れている。

2026年の役割は「20番の職人」

2026年、日本代表の試合にリーチは5試合出た。7月4日のイタリア戦(27-10)では24-10とリードした後半12分から出場。7月18日のフランス戦(15-42)では後半9分、この日代表デビューだったエセイ・ハアンガナに代わってピッチに入り、ジャッカルを2回決めた。ジャッカルは、タックルで倒れた相手のボールを立ったまま奪いにいくプレーだ。成立の条件はジャッカルのルール解説にまとめた。

フランス戦のあと、リーチはこう話している。

僕としてはまず与えられた役割(をこなす)。20番の職人に本当になりたいなと— リーチ マイケル(ラグビーリパブリック、2026年7月21日)

背番号16〜23はリザーブ。20番は多くの場合、バックロー(FL・No.8)の控えがつける番号だ。同じ記事でリーチは、エディー・ジョーンズHCからリザーブに求められているのは、入った瞬間からタックル、ボールキャリー、運動量、声を短い時間でどれだけ出せるかだと明かしている。リーチは「この3試合はリザーブのインパクトでは相手よりも上回っている」とも語った。

37歳で増量を決めた理由

7月の網走合宿で、リーチは上半身の筋量を増やしていると明かした。国内のリーグワンで接点のインパクトに課題を感じたこと、代表でリザーブ出場を求められたことが理由だという。テレビに映った自分を見て「細いなぁ」と感じ、もう一度体を作り直したい、と(ラグビーリパブリック、2026年7月30日)。

若いころなら当たり前の話が、38歳を目前にした選手の口から出ると重みが違う。体重を増やせば動きは重くなりやすい。ベテランほどそれを嫌がって、軽さを保とうとするものだ。リーチは逆をいった。短い時間で「圧」を出すための体に作り変えている。この判断に、控えで勝負するという覚悟が見える。

数字で見る“接点の強さ”

「まだ選ばれる理由」を一番わかりやすく示すのは、リーグワンの数字だ。2024-25シーズン、リーチはディビジョン1のベストタックラーを初受賞している。

項目(リーグワン2024-25 D1 リーグ戦) 数字
タックル数 303回
タックル成功数 269回
成功率 88.8%

このシーズン、リーチはゴールデンショルダー(選手間投票で選ぶ、実際に受けたタックルが一番きつかった選手への賞)とベストフィフティーン(No.8)にも選ばれ、主将として東芝の連覇を引っ張った。36歳のシーズンに、タックルの数と成功率の両方でリーグのトップに立ったわけだ。

続く2025-26シーズン、東芝は6位に終わり、プレーオフの準々決勝で敗れた。3連覇を逃したシーズンを振り返り、リーチは「常に高いスタンダードを持っていかないといけない」と反省を口にしている。チームとしては苦しい1年だった。

主将のバトンを渡したあとで

リーチは2014年から2021年まで日本代表の主将を務め、エディー・ジョーンズHCの第2次体制が始まった2024年にも再び主将に指名された。2025年7月のウェールズ2連戦でも主将として先発している。流れが変わったのは2025年8月だ。個人的な事情でPNCに参加しないことになり、ワーナー・ディアンズと原田衛が共同キャプテンに指名された。ラグビーリパブリックのコラムによれば、ジョーンズHCはこの2人をリーチから推薦されたと明かしている。

同じコラムで、リーチは日本代表のキャプテンに必要な能力として「コーチ陣とやり合えること」を挙げていた。勝つためにコーチと議論し、意見を主張するところまでやれるかどうか。自分がそれをやってきたからこそ言える言葉だ。いまは腕章を後輩に託し、自分は20番で結果を出す側に回った。主将経験者がチームの中にいて、しかも控えの役割に本気で取り組んでいる。若いキャプテンにとって、これほど心強い存在はないと思う。

ディアンズの歩みはワーナー・ディアンズの記事で詳しく書いた。

若いバックローと何が違うのか

いまの日本代表のバックローは層が厚い。PNC決勝でプレイヤー・オブ・ザ・マッチを獲ったベン・ガンター、FLにもWTBにも入れるティエナン・コストリー、下川甲嗣、No.8のマキシ ファウルア、2026年7月にデビューしたハアンガナ。リーチ本人も「みんな2メートルあって、たぶん世界で一番デカいんじゃないな」と笑っていた。

若手で固める派VSリーチを残す派

若手で固める派:W杯2027まで1年。サイズとスピードで勝る20代の選手に経験を積ませるべきで、枠は未来に使いたい。リーチを残す派:W杯の決勝トーナメントは、最後の20分で試合が決まる。4大会を知る選手がベンチにいる安心感は、代わりが利かない。

比べると、違いは“サイズ”ではなく“場所”にある。リーチの強みは、ボールがどこに落ちるか、どのラックに人が要るかを読む速さだ。自身もかつて東芝の公式サイトのインタビュー(2022-23シーズンに収録)で、リッチー・マコウのプレーを研究し「倒れたらすぐに立ち上がる」ことを目標にしたと語っている。倒れている時間を減らせば、それだけ次の接点に早く着ける。この考え方は、控えから入って短い時間で仕事量を稼ぐ役割とぴったり合う。

フランカーに求められる仕事と、世界の名フランカーたちについてはフランカーの特徴と伝説の選手で整理しているので、あわせて読んでほしい。

Q1W杯に5大会出場した選手は、歴史上何人いる?答えを見る

答えは3人。サモアのブライアン・リマ(1991〜2007)、イタリアのマウロ・ベルガマスコ(1999〜2015)とセルジオ・パリッセ(2003〜2019)だ。リーチが2027年大会に出れば、この記録に並ぶ。

9月の選外と、W杯2027まで

8月24日に発表された9月の代表合宿メンバーに、リーチの名前はなかった。ラグビーリパブリックによると、ワーナー・ディアンズやリーチら6名は「コンディションを考慮して」選外。同じ記事は、リーチが通算97キャップに到達したことにも触れている。7月と8月に計5試合のテストマッチを戦ったあとだ。38歳を目前にした選手の体を休ませるのは、自然な判断に見える。

日本代表は9月のPNCで優勝し、世界ランキングは9位まで上がった。次は10月24日の秩父宮でのフィジー戦、そして11月の欧州遠征。2026年9月25日時点で、その代表メンバーはまだ発表されていない。クラブでは東芝ブレイブルーパス東京の選手一覧に名前があり、12月12日に開幕するリーグワン2026-27を迎える。

リーチはフランス戦のあと、W杯のプール戦でフランスと再戦するまでの1年で差を埋められるか、と聞かれて「思います」と答えた(ラグビーリパブリック、2026年7月21日)。W杯2027で日本はフランスと同じプールEに入っている。

98キャップで大野均に並び、99キャップで単独1位。そして日本人として初めての100キャップ。数字だけでも見たい場面はいくつもある。ただ、個人的に一番見たいのは、W杯の後半20分に20番をつけて入ってきたリーチが、最初の接点で相手のボールを奪う場面だ。それができる限り、この人は代表に必要とされ続けると思う。

日本代表 イタリア代表戦 勝利後の舞台裏(JAPAN RUGBY TV/日本ラグビーフットボール協会) YouTubeで見る

参考:ラグビーリパブリック(2026年7月21日)/ラグビーリパブリック(2026年7月30日)/日本ラグビーフットボール協会 日本代表キャップ保持者/東芝ブレイブルーパス東京 リーチ マイケル/リーグワン公式 2024-25個人賞/ラグビーリパブリック(2026年8月24日)

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LEOEditor-in-Chief

埼玉工業大学深谷高等学校(埼工大深谷。現・正智深谷)ラグビー部出身。WTB→CTB→FLと渡り歩き、在籍中のチームは花園2年連続ベスト4。いまはラグビージャージのデザイン制作(HERCULEGEAR)に携わりながら、ラグビーの面白さを書いています。

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