ラグビー日本代表の「歴代最強の15人」を選べ、と言われたら、たぶん飲み会が一晩では終わらない。大畑大介を外せる人はいないだろう。では平尾誠二と田村優、10番はどっちか。リーチ マイケルと箕内拓郎を同時に並べられるか。W杯が始まった1987年から来年の2027年まで、40年分の日本代表から先発15人と控え8人を本気で選んでみた。異論は認める。というか、異論を聞きたい。
- 対象は第1回W杯の1987年以降に日本代表でプレーした選手。キャップ数とW杯出場歴は2026年9月時点で確認した数字を使った
- FWは2015年と2019年の「W杯で勝った世代」が中心。BKは時代をまたいで、大畑・平尾・元木のレジェンドと今の選手を混ぜた
- 最後まで迷ったのは10番、13番、そして8番
- 控え8人にはワーナー・ディアンズ、齋藤直人、ディラン・ライリーら現役組を入れた
Contents 目次
選考ルールは3つだけ
先に決めたルールを書いておく。1つ目、対象は1987年の第1回W杯以降に日本代表のキャップを持つ選手。2つ目、「その選手の一番いい時期」同士を比べる。3つ目、W杯で何をしたかを重く見る。日本代表の歴史はW杯での苦戦の歴史でもあって、2015年と2019年に初めて結果が出た。その舞台に立った選手はどうしても有利になる。
キャップ数は「ラグビー日本代表歴代キャップ保持者一覧」(2026年9月12日のアメリカ戦終了時点)と日本協会の発表、W杯の出場歴はWorld Rugbyの試合記録で確認した。引退・現役の区別は2026年9月時点だ。
FW:スクラムとブレイクダウンで「負けない8人」
| 番号 | 選手 | キャップ | W杯出場 | 2026年9月 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 稲垣啓太 | 53 | 2015・2019・2023 | 現役 |
| 2 | 堀江翔太 | 76 | 2011・2015・2019・2023 | 引退 |
| 3 | 具智元 | 29 | 2019・2023 | 現役 |
| 4 | 大野均 | 98 | 2007・2011・2015 | 引退 |
| 5 | トンプソン ルーク | 71 | 2007・2011・2015・2019 | 引退 |
| 6 | リーチ マイケル | 97 | 2011・2015・2019・2023 | 現役 |
| 7 | 姫野和樹 | 36 | 2019・2023 | 現役 |
| 8 | 箕内拓郎 | 48 | 2003・2007 | 引退 |
1番 稲垣啓太。W杯3大会連続出場。スクラムで崩れず、80分近く走ってタックルし続ける。2019年W杯のスコットランド戦、大一番でトライを決めた場面は今も語り草だ。現役で埼玉ワイルドナイツ。
2番 堀江翔太。W杯4大会出場のフッカー。スクラムの最前列にいながら、パスもキックもできる。2024年に引退し、今は埼玉WKでFWコーチ。フッカーという役割の面白さはフッカーの記事でも書いた。
3番 具智元。キャップ29は候補の中では少ない。それでも、初めてベスト8に入った2019年W杯のスクラムを右側から支えた3番として、ここは具を選びたい。控えには78キャップの畠山健介を置く。
4番 大野均、5番 トンプソン ルーク。ここは迷わなかった。大野は日本代表最多の98キャップ。トンプソンはW杯4大会に出て、キャップ保持者一覧によると日本代表の歴代最年長出場(38歳)。2人ともブライトンで南アフリカに勝ったときのロックだ。
6番 リーチ マイケル。説明はいらない。2015年と2019年の主将で、97キャップは大野に次ぐ歴代2位。2027年に選ばれれば5大会目のW杯になる。
7番 姫野和樹。ジャッカル(タックル直後に倒れた相手のボールを奪うプレー)で試合の流れを変えられる。2019年W杯で一気に名前が知られ、2023年W杯では主将を務めた。
8番 箕内拓郎。2003年と2007年のW杯を主将として戦った。勝てない時代の日本代表で、体を張り続けた8番。結果が出なかった世代から1人は入れたかった。
BK:大畑の69トライと、平尾の13番
| 番号 | 選手 | キャップ | W杯出場 | 2026年9月 |
|---|---|---|---|---|
| 9 | 田中史朗 | 75 | 2011・2015・2019 | 引退 |
| 10 | 田村優 | 70 | 2015・2019 | 現役 |
| 11 | 福岡堅樹 | 38 | 2015・2019 | 引退 |
| 12 | 元木由記雄 | 79 | 1991・1995・1999・2003 | 引退 |
| 13 | 平尾誠二 | 35 | 1987・1991・1995 | 故人(2016年没) |
| 14 | 大畑大介 | 58 | 1999・2003 | 引退 |
| 15 | 松島幸太朗 | 55 | 2015・2019・2023 | 現役 |
9番 田中史朗。身長166cmで、世界の大男たちの足元から球を出し続けた。ニュージーランドのハイランダーズでスーパーラグビー優勝(2015年)を経験した。W杯3大会。2023-24シーズンで引退。
10番 田村優。2019年W杯のゲームコントロールで決めた。キックで陣地を取り、パスでラインを動かす。70キャップ。横浜キヤノンイーグルスで今もプレーしている。
11番 福岡堅樹。2019年のスコットランド戦で2トライ。キャップは38と少なめだが、「この選手にボールが渡れば何か起きる」という期待感は歴代でも一番だった。
12番 元木由記雄。1991年から2003年までW杯4大会。79キャップ。平尾の時代から大畑の時代まで、日本のBKの真ん中にずっといた人だ。
13番 平尾誠二。本来は10番でもプレーした選手だが、今回は13番に置いた。第1回の1987年から3大会のW杯に出た「ミスター・ラグビー」。2016年に53歳で亡くなった。W杯40年の歴史をたどる企画なら、この人から始めたい。
14番 大畑大介。テストマッチ69トライは日本代表の歴代最多で、2位の小野澤宏時(55)を大きく引き離す。キャップは58。1試合に1トライ以上のペースで取り続けた計算になる。
15番 松島幸太朗。W杯3大会で、WTBもFBもこなす。フランスのクレルモンでもプレーし、今は東京サントリーサンゴリアス。キャップ55。
田村派:W杯で8強に入ったチームの司令塔。今のラグビーのスピードとフィジカルの中でゲームを作った実績は大きい。
平尾派:アマチュア時代の日本で、世界と戦うためのBKの考え方そのものを作った人。時代が違っても、10番を任せたくなるのはこの人。
控えの8人と、泣く泣く外した名前
テストマッチの控えは8人。今回はFW4人・BK4人の形で選んだ。
- 16 坂手淳史(HO)47キャップ、W杯2019・2023。現役。
- 17 畠山健介(PR)78キャップ、W杯2011・2015。引退。3番の先発を最後まで具と争った。
- 18 ワーナー・ディアンズ(LO)37キャップ、W杯2023。現役で今の日本代表の主将。詳しくはディアンズの記事で。
- 19 ツイ ヘンドリック(FL/No.8)47キャップ、W杯2015・2019。2025-26シーズンで引退。
- 20 齋藤直人(SH)W杯2023。2026年9月のパシフィックネーションズカップでゲームキャプテン。決勝のメンバー発表時点で35キャップ。現役。
- 21 ディラン・ライリー(CTB)W杯2023。PNC決勝のメンバー発表時点で45キャップ。9月のアメリカ戦で2トライ。現役。
- 22 五郎丸歩(FB)57キャップ、W杯2015。ブライトンで24得点。引退。
- 23 小野澤宏時(WTB)81キャップは歴代3位、55トライは歴代2位。W杯2003・2007・2011。引退。
今の試合では、後半に前5人(PR・HO・LO)を入れ替えるのが当たり前になっている。スクラムとラインアウトの強度を80分落とさないために、控えのFWはHO・PR・LOを1人ずつ、そこに第3列を1人。BKは9番、センター、そしてWTBもFBもできるバックスリーを2人にした。
外した名前も書いておく。マフィ、ラブスカフニ、立川理道、ラファエレ ティモシー、中村亮土、流大、山田章仁、伊藤剛臣、増保輝則、村田亙、大八木淳史……。書いているだけで別のXVが組める。とくにCTBの立川(62キャップ)と中村(39キャップ)は、平尾と元木がいなければ間違いなく先発だった。
Q1日本代表で、テストマッチのトライ数が歴代1位と2位の選手は?答えを見る
1位が大畑大介の69トライ、2位が小野澤宏時の55トライ。どちらもWTBで、このXVでは大畑が先発14番、小野澤が控えに入っている。
数えてみたら、2019年組が10人
選び終わってから数えてみると、先発15人のうち2019年W杯のメンバーが10人(稲垣、堀江、具、トンプソン、リーチ、姫野、田中、田村、福岡、松島)、2015年W杯のメンバーが9人いた。重なっている選手が多く、2015年から2019年の4年間がどれだけ特別だったかがよくわかる。一方で2003年W杯までの世代からは、元木、平尾、大畑、箕内の4人。勝てなかった時代にも、世界と互角にやれる個はいた。それを残したかった。
逆に、2020年代に代表デビューした選手は先発にはいない。ディアンズ、齋藤、ライリー(いずれも2021年に初キャップ)は控えに入れたが、キャップ数とW杯での実績でまだ先輩たちに届かない。2027年のW杯が終わったとき、この表がどう変わるか。そこも楽しみにしている。
このXVが今の日本代表と戦ったら
最後に妄想をひとつ。このXVと、2026年の日本代表が戦ったらどうなるか。FWの経験値はこっちが上。スクラムは稲垣・堀江・具の最前列なら押し負けない。一方、今の代表はアタックのテンポが速く、9月のパシフィックネーションズカップでアメリカから9トライを取っている。ハーフ団(9番と10番)の田中・田村がどこまでテンポを上げられるかが勝負を分けそうだ。個人的には、大畑と福岡の両WTBに最後はボールが回って、ぎりぎりでXVが勝つと思っている。
ポジションごとの世界と日本の名選手はプロップ、ロックの記事でも紹介している。今の代表から誰が2027年W杯に行くかはメンバー予想33人で書いた。来年の今ごろ、このXVに新しい名前を足したくなる選手が出てきていたらうれしい。
参考:Wikipedia: ラグビー日本代表歴代キャップ保持者一覧/日本ラグビーフットボール協会(PNC決勝メンバー)/日本ラグビーフットボール協会(イタリア戦メンバー)/World Rugby(PNC2026準決勝)/Wikipedia: 堀江翔太
