子どもにラグビーボールを買おうとして、「3号」「4号」「5号」の表示の前で手が止まった人は多いはず。しかも海外メーカーのサイズ表と、日本のミニラグビーの規定では、同じ年齢でもすすめる号数が違う。中学生から大人と同じ5号球――これ、意外と知られていない。この記事では、ルールで決まっている数字、日本協会の年代別の使用球、そして自主練用の選び方をまとめて整理する。
- 公式の大人用は5号球。競技規則で長さ280〜300mm、重さ410〜460g、空気圧65.71〜68.75kPaと決まっている
- 日本協会の年代別ルールでは、未就学〜小学校低学年は3号、中学年は3号か4号、高学年は4号、中学生以上は5号
- 自主練用は「チームの試合と同じ号数」が基本。空気圧チェックを忘れずに
- 海外メーカーのサイズ表は日本の規定と年齢の区切りが違う。日本でプレーするなら日本の規定に合わせる
Contents 目次
5号球の数字は、ルールで決まっている
まずは基準になる5号球から。ワールドラグビーの競技規則第2条(ボール)は、ボールの形や大きさ、重さ、空気圧まで数字で定めている。
| 項目 | 規定(競技規則 第2条) |
|---|---|
| 形・構造 | 楕円形で、4枚のパネルで作られる |
| 長さ(縦の直線距離) | 280〜300mm |
| 縦の周囲 | 740〜770mm |
| 横の周囲 | 580〜620mm |
| 重さ | 410〜460g |
| 空気圧(試合開始時) | 65.71〜68.75kPa(0.67〜0.70kg/cm²、9.5〜10.0psi) |
素材は革か適切な合成素材で、水をはじいたりグリップしやすくしたりする加工も認められている。同じ条文で、試合の主催者は年少の選手のために小さいボールの使用を認めることができる、とされている。これが3号・4号の出番だ。
400g台と聞くと軽く感じるかもしれない。でも実際に手に持つと、楕円のせいで重心がつかみにくく、片手で扱うのは意外と難しい。これが子ども用の小さいボールが必要な理由でもある。
日本の年代別、何号を使う?
日本ラグビーフットボール協会の「みんなでラグビー」の年齢別ラグビーのページには、年代ごとの人数、コートの広さ、試合時間と並んで、使うボールの号数がまとめられている(2026年9月確認)。
| カテゴリー | 年齢の目安 | 人数 | ボール |
|---|---|---|---|
| U12ミニ(未就学児) | 3〜6歳 | 5人 | 3号球 |
| U12ミニ(小学校低学年) | 7〜8歳 | 5人 | 3号球(公式戦はタグラグビー) |
| U12ミニ(小学校中学年) | 9〜10歳 | 7人 | 3号球または4号球 |
| U12ミニ(小学校高学年) | 11〜12歳 | 9人 | 4号球 |
| U15ジュニア(中学生) | 13〜15歳 | 12人 | 5号球 |
| U18ユース(高校生) | 16〜18歳 | 15人 | 5号球 |
| O19成年 | 19歳以上 | 15人 | 5号球 |
ポイントは2つ。ひとつは、小学校中学年(3・4年生)が「3号か4号」と幅があること。所属するスクールや大会でどちらを使っているかを確認してから買うのが確実だ。もうひとつは、中学生から5号球になること。中学1年生の春、急にボールが大きく重くなって戸惑う選手は多い。
Q1日本協会の年代別ルールで、中学生(U15)の試合は何号球?答えを見る
答えは5号球。大人と同じサイズだ。ちなみに中学生の試合は12人制(FW5人・BK7人)で行われている。小学校高学年の4号球から、一気にサイズが上がる。
海外のサイズ表と何が違う?
ボールメーカーのギルバート(英国)の公式サイズガイドでは、サイズ3が7〜9歳、サイズ4が10〜14歳、サイズ5が15歳以上の目安とされている。日本の規定と比べると、中学生にあたる13・14歳が「サイズ4」の範囲に入っているのがわかる。
どちらが正しいという話ではなく、国や協会によって年代の区切りが違うということ。日本の中学生チームでプレーするなら、日本協会の規定どおり5号球で練習するのが自然だ。
3号・4号・5号、手に持つとこう違う
数字の比較だけではイメージしにくいので、使う側の感覚で整理しておく。
- 3号球小さな手でも両手でしっかり持てるサイズ。未就学児から低学年のボール遊び、タグラグビーの入り口にちょうどいい。キャッチの怖さを減らす意味も大きい。
- 4号球小学校高学年の標準。パスの回転(スピン)をかける練習ができるようになる大きさ。大人がハンドリングのウォームアップに使うこともある。
- 5号球中学生以上の公式サイズ。パス、キック、ラインアウトのスローまで、すべてこのサイズを基準にスキルが組み立てられている。
小さいボールは「簡単」に感じるが、それだけ細かい指先の感覚が求められる面もある。逆に、手の小さい子に大きいボールを持たせると、両手で抱え込む癖がついて、パスが胸の前から出なくなることがある。年代に合った号数を使う意味はここにある。
大人が4号球を使う場面もある。ハンドリング練習のウォームアップで、あえて小さいボールを使って指先の感覚を研ぎ澄ます、というやり方だ。小さいボールで正確にパスできれば、5号球に持ち替えたとき手の中でボールが安定して感じられる。号数は「年齢に合わせるもの」であると同時に、「練習の狙いに合わせて使い分けるもの」でもある。
自主練用はこう選ぶ
チームの練習以外で、家の前や公園でボールに触りたい。そんなときの1球の選び方。
- 号数はチームの試合と同じに:自主練の目的は、試合で使うボールに手をなじませること。号数がずれると感覚もずれる
- グリップのある表面:凹凸(ドット)がある表面のほうが、雨の日や手が汗ばんだときも滑りにくい
- 「認定球」かどうか:国内メーカーの中には「日本ラグビーフットボール協会認定球」と表示したボールがある(ミズノ、カンタベリーなどの公式サイトで確認)。試合と同じ感覚で練習したいなら、ひとつの目安になる
- 練習用は丈夫さ優先:コンクリートや土の上で使うなら、試合球より耐久性重視のモデルのほうが長持ちする
パスの基本をひとりで確認したいならパスの投げ方、キックならキックの種類と蹴り方の記事も参考になる。ハイボールのキャッチを練習したい人はハイボールキャッチのコツもどうぞ。
タグラグビーから始めるなら
小学校の体育や、スクールの低学年クラスで最初に触れることが多いのがタグラグビー。タックルの代わりに、腰につけたタグ(リボン)を取ることで相手を止めるゲームだ。日本協会の年齢別ラグビーのページでも、小学校低学年の公式戦はタグラグビーで行うとされていて、使うボールは3号球となっている。
タグラグビーでは、ボールを持って走る、パスをつなぐ、相手をかわす、というラグビーの基本がそのまま詰まっている。家で練習するなら、まずは3号球を「落とさずに受ける」「走りながら持つ」ことから。大人が軽く投げてあげて、胸の前でキャッチする遊びを繰り返すだけでも、ボールへの怖さはどんどん消えていく。
雨の日の練習球はどうする?
ラグビーは雨でも試合をする。だからこそ、濡れたボールを扱う練習にも意味がある。ただ、雨の中で使ったボールは、そのままにしておくと表面が傷んだり、縫い目から水がしみたりする。使ったあとはタオルで水気をふき取り、風通しのいい日陰で乾かすこと。泥がついたら、乾く前に軽く洗い流しておくと、表面のグリップが長持ちする。練習用と試合前の確認用を分けて2球持っておくと、雨の翌日でも困らない。
空気圧を甘く見ない
意外と見落とされがちなのが空気圧。規定では、5号球の試合開始時の空気圧は65.71〜68.75kPa(9.5〜10.0psi)。空気が抜けたボールは、パスの回転がかかりにくく、キックも飛ばない。逆に入れすぎると硬くて手が痛いし、キャッチで弾きやすい。
カンタベリーの5号球の公式説明には、ラテックス(ゴム)のチューブを使っているため、時間とともに自然に空気が抜けるので使用前ごとに空気圧を確認してほしい、という趣旨の注意書きがある。ボールの空気は「減るもの」と考えて、練習前にチェックする習慣をつけたい。
- 空気入れと圧力計を用意ボール用の針(ニードル)は、差し込む前に水で少し濡らすと、バルブを傷めにくい。
- ボールの表示を確認3号・4号の適正な空気圧は、ボール本体や説明書に書かれていることが多い。まずはメーカーの表示に従う。
- 入れすぎたら少しずつ抜くいったん多めに入れて圧力計で測りながら調整すると、ちょうどいい値に合わせやすい。
空気圧のチェックは、試合前の儀式にしてしまうのがいい。ボールを軽く地面に弾ませて音と跳ね方を確かめる選手もいるが、感覚だけに頼らず、圧力計で数字を見る習慣をつけておくと安心だ。保管は直射日光と高温を避けて。夏の車内に置きっぱなしにすると、表面が傷んだり、空気圧が大きく変わったりする。
最初の1球、年代別のおすすめ
最後に、「結局どれを買えばいいの?」への答えを年代別に。
| 年代 | おすすめ | ひとこと |
|---|---|---|
| 未就学〜小学校低学年 | 3号球 | まずは「怖くない」こと。やわらかめの表面がいい |
| 小学校中学年 | 3号か4号(スクールに合わせる) | 所属チームの使用球を確認してから |
| 小学校高学年 | 4号球 | パスの回転を覚える時期。グリップのある表面を |
| 中学生・高校生 | 5号球 | 試合と同じ感覚で練習できる認定球を1つ |
| 大人・観戦ファン | 5号球 | 家でパスの真似をするだけでも、試合の見え方が変わる |
観戦が好きな大人こそ、5号球を1つ持っておくといい。スクラムハーフのパスがどれだけ速いか、キッカーがどれだけ正確に蹴っているか、手に持つと実感できる。ラインアウトのスローがなぜ難しいのかも、ラインアウトスローの記事を読みながら投げてみるとよくわかる。
ボールの号数は、年齢で決まる「目安」ではなく、年代ごとに決められたルールの一部だ。子どもには手に合う号数を、中学生以上には試合と同じ5号球を。そして空気圧は、使う前に確かめる。たったそれだけで、ボールはぐっと手になじむ。
参考:World Rugby 競技規則 第2条/Rugby365 Law 2 – The ball/みんなでラグビー 年齢別ラグビー/Gilbert Rugby Size Guides/カンタベリー公式 ラグビーボール(5号球)
