2027年10月3日、ラグビーワールドカップ(W杯)オーストラリア大会で日本の初戦の相手はサモアだ。そのサモア代表が11月のネーションズカップに向けて発表した30人のうち、7人が日本のリーグワンでプレーしている。つまり、W杯で日本とぶつかる選手の一部は、12月から国内のスタジアムで見られる。誰が、どのクラブにいるのか。サモア側の名簿とリーグワン各クラブの公式選手ページを1人ずつ突き合わせた。
- サモア代表のネーションズカップ11月の30人に、リーグワン所属は7人(2026年10月18日時点、RugbyPass掲載の名簿と各クラブ公式で照合)。
- 7人はショーン・スティーブンソン(クボタスピアーズ、D1)、アキラ・イオアネとピーター・ウマガ=ジェンセン(花園近鉄ライナーズ、D2)、サム・スレイド(川越狭山セコムラガッツ、D2)、ミラクル・ファイランギ(JR東日本グリーンウォリアーズ東葛、D2)、ベンジャミン・ニーニー(日本製鉄釜石シーウェイブス、D3)、イラエ・シモネ(丸和MOMOTARO’S成田、D3)。
- 元オールブラックスのスティーブンソンとアキラ・イオアネは、World Rugbyの代表資格変更の制度(36か月の空白期間など)を使ってサモアを選んだ。
- サモアの11月はジンバブエ(11/7)、ポルトガル(11/14)、スペイン(11/21)。日本とはW杯2027プールE初戦の10月3日(ニューカッスル)で当たる。
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サモア代表にリーグワンの選手は何人いる?
答えは7人。30人のうち約4分の1が日本でプレーしている計算になる。ラガサプ!では、RugbyPassが10月7日(現地時間)に掲載した30人の名簿を、リーグワン各クラブの公式サイトの選手ページと1人ずつ照合し、7人の所属を確かめた。
表のポジションは、各クラブの公式選手ページに載っている登録ポジション。ディビジョンは、リーグワンが2026年7月1日に発表した2026-27シーズンの区分による。
| 選手名 | ポジション(クラブ登録) | 所属クラブ | 2026-27の区分 |
|---|---|---|---|
| ショーン・スティーブンソン(Shaun Stevenson) | FB | クボタスピアーズ船橋・東京ベイ | ディビジョン1 |
| アキラ・イオアネ(Akira Ioane) | No.8 | 花園近鉄ライナーズ | ディビジョン2 |
| ピーター・ウマガ=ジェンセン(Peter Umaga-Jensen) | CTB | 花園近鉄ライナーズ | ディビジョン2 |
| サム・スレイド(Sam Slade) | LO | 川越狭山セコムラガッツ | ディビジョン2 |
| ミラクル・ファイランギ(Miracle Faiilagi) | FL/No.8 | JR東日本グリーンウォリアーズ東葛 | ディビジョン2 |
| ベンジャミン・ニーニー(Benjamin Nee-Nee) | LO | 日本製鉄釜石シーウェイブス | ディビジョン3 |
| イラエ・シモネ(Irae Simone) | CTB | 丸和MOMOTARO’S成田 | ディビジョン3 |
内訳はFW4人、BK3人。ディビジョン1は1人だけで、残る6人はディビジョン2と3に散らばっている。ここが見落とされやすいところだ。「リーグワン勢」と聞くとD1の強豪を思い浮かべがちだが、サモア代表の日本組は、むしろD2・D3のクラブを支えている。
名前の表記はクラブ公式に合わせた。英語圏の報道ではファイランギは「Faiilagi」、ニーニーは「Ben Petaia Nee-Nee」と書かれることがある。RugbyPassの名簿では所属が「Green Warriors」「Maruwa」「Sayama Secom」のように短く書かれているので、正式名はクラブ公式で確認してほしい。
リーグワン以外の23人も挙げておく。所属はRugbyPassの名簿の表記のままで、クラブの国別に並べた。最も多いのはフランスのクラブの9人で、日本の7人がそれに続く。
| 所属クラブの国 | 選手(所属) |
|---|---|
| フランス(9人) | Millennium Sanerivi(RC Vannes)、Sama Malolo(Perpignan)、Chris Gabriel(Castres Olympique)、Theodore McFarland(La Rochelle)、Abraham Papali’i(Castres)、Lalomilo Lalomilo(FCG Grenoble)、Duncan Paia’aua(Biarritz)、AJ Lam(Clermont)、Etene Nanai-Seturo(Clermont) |
| ニュージーランド(4人) | Aki Seiuli(Otago)、Niko Jones(Waitemata RFC)、Alamanda Motuga(Counties Manukau)、Joel Lam(Otago) |
| イングランド(3人) | Marco Fepuleai(Gloucester)、Tietie Tuimauga(Saracens)、Richie Asiata(Leicester) |
| アイルランド(2人) | Michael Alaalatoa(Munster)、Josh Ioane(Connacht) |
| オーストラリア(2人) | Connor Tupai(Eastern Suburbs)、Latrell Ah Kiong(Two Blues) |
| ウェールズ(1人) | Scott Sio(Cardiff Blues) |
| イタリア(1人) | Jacob Umaga(Treviso) |
| サモア(1人) | Efeso Tavita(Laumoso’oi Siumu) |
注目は誰?元オールブラックスの2人がリーグワンにいる
一番の話題は、ニュージーランド代表(オールブラックス)経験者のスティーブンソンとアキラ・イオアネが、ともにリーグワンからサモアを選んだことだ。RugbyPassは、2人にコナート所属のジョシュ・イオアネを加えた元オールブラックス3人が、11月にサモア代表デビューを迎える可能性があると伝えている。
ショーン・スティーブンソン:決勝を戦ったフルバック
- ポジション
- FB(フルバック)
- 所属
- クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(ディビジョン1)
出典:クボタスピアーズ公式 選手名鑑、World Rugby、サモア・オブザーバー(2026年10月時点)
ニュージーランド代表では2023年に1試合に出場し、そのデビュー戦のオーストラリア戦でトライを挙げた。サモア・オブザーバーによれば、サモアとは家族のルーツでつながっていて、代表資格を得られるのは2026年8月。そのため7月の招集には間に合わず、11月からの参加になった。
クラブでは2025-26シーズン、クボタの一員として6月7日の決勝を戦い、コベルコ神戸スティーラーズに13-22で敗れた(World Rugbyのシーズン総括より)。World Rugbyは、2026-27シーズンもクボタに残ると伝えている。代表に入ってもリーグワンで見られる、ということだ。
アキラ・イオアネ:近鉄のNo.8
花園近鉄ライナーズの公式プロフィールでは、ポジションNo.8、身長196cm・体重123kg、1995年6月16日生まれ、前所属はブルーズ。RugbyPassは、オールブラックスで20試合を超えるテストマッチに出た選手として紹介している。6月のサモア・オブザーバーの記事でも、サモア協会(ラカピ・サモア)がスティーブンソンと並んで名前を挙げていた選手だ。
なぜ元オールブラックスがサモア代表になれるのか
World Rugbyが2022年1月1日から適用した代表資格の規定(Regulation 8)による。ある国の代表としてプレーした選手でも、次の条件をすべて満たせば一度だけ別の国に移れる。
- 最後の代表戦から36か月、国際試合に出ていないこと
- 移る先の国で、本人・親・祖父母のいずれかが生まれていること
- World Rugbyの規定委員会が承認すること
移れるのは一度きり。スティーブンソンの「8月に資格を得る」という時期も、この36か月の空白期間から来ている。
ほかの5人:代表で実績のある主将経験者もいる
ファイランギは、JR東日本グリーンウォリアーズ東葛が8月25日に加入を発表した選手だ。発表では、前所属はモアナ・パシフィカ、ポジションはFL/No.8、身長192cm・体重118kg、サモア代表4キャップ(発表時点)となっている。7月のネーションズカップ初戦の香港・チャイナ戦では、サモアの主将を務めた(サモア・オブザーバー)。
LOのスレイドは川越狭山セコムラガッツに所属し、クラブ公式では身長197cm・体重116kg、1997年8月28日生まれ。CTBのウマガ=ジェンセンは近鉄で、前所属はハリケーンズ。釜石のニーニーはLO、丸和MOMOTARO’S成田のシモネはCTBとしてクラブに登録されている。RugbyPassは名簿にサモア代表としては未キャップの選手が8人いると書き、印を付けた8人の中にリーグワン組のイオアネ、シモネ、スティーブンソンが入っている(スティーブンソンとイオアネはニュージーランド代表のキャップを持っている)。
サモアの11月の日程は?ネーションズカップとはどんな大会?
サモアは11月7日にジンバブエ、14日にポルトガル、21日にスペインと戦う。ネーションズカップは、World Rugbyが2026年に始めた新しい国際大会だ。
| 日付(現地) | 対戦 | 会場 |
|---|---|---|
| 11月7日(土) | ジンバブエ 対 サモア | イングランド・ウェイクフィールド |
| 11月14日(土) | ポルトガル 対 サモア | エスタディオ・ナシオナル・ド・ジャモール(ポルトガル) |
| 11月21日(土) | サモア 対 スペイン | エスタディオ・シウダ・デ・マラガ(スペイン) |
World Rugbyの発表によると、ネーションズカップは2年に1度の大会。出場12チームはすべてW杯2027の出場国で、地域ごとに6チームずつの2プールに分かれる。サモアはカナダ、チリ、トンガ、ウルグアイ、アメリカと同じ「アメリカ・太平洋」側のプールにいる。
仕組みは少し変わっていて、同じプールの国とは戦わない。反対側のプール(ジョージア、香港・チャイナ、ポルトガル、ルーマニア、スペイン、ジンバブエ)の6チームと7月に3試合、11月に3試合ずつ当たり、11月の最終戦のあとで各プールの1位がチャンピオンになる。決勝の日はない。
日本が出ているネーションズチャンピオンシップ(シックス・ネーションズの6チームとSANZAARの4チーム、日本、フィジーの12チーム)とは同じ時期に行われる別の大会だ。World Rugbyは、2つの大会の間の昇格・降格の仕組みについては、2030年大会以降に関係者で検討するとしている。2026年の時点で昇降格はない。
サモアの7月は、香港・チャイナに66-19で勝ったあと、ジョージアに12-33で敗れ、ルーマニアには37-38の1点差で敗れた。ルーマニア戦は一時31-14とリードしていた試合だった(World Rugbyの第3節レポート)。11月の相手はジンバブエ、ポルトガル、スペインと、7月とは別の3チーム。7月の2連敗からどこまで立て直せるかが問われる。
W杯2027で日本はいつサモアと戦う?
2027年10月3日(日)、ニューカッスル・スタジアムで行われるプールEの初戦が日本対サモアだ。プールEの日本の日程は次のとおり(rugbyworldcup.comなどで確認)。
| 日付(2027年・現地) | 対戦 | 会場 |
|---|---|---|
| 10月3日(日) | 日本 対 サモア | ニューカッスル・スタジアム |
| 10月9日(土) | フランス 対 日本 | サンコープ・スタジアム(ブリスベン) |
| 10月15日(金) | 日本 対 アメリカ | アデレード・オーバル |
3戦の流れは、プールEの日程と移動を整理したW杯2027 日本代表プールEの日程の記事で詳しく解説する。サモアとの過去の対戦成績は日本対サモアの対戦成績で掘り下げる。
初戦の相手は、大会全体の入り方を決める。そのサモアの選手が7人、12月に開幕するリーグワンのシーズンを日本で戦う。逆に言えば、サモアの選手たちも日本のラグビーを肌で知った状態でW杯を迎える。情報はお互いさまだ。
11月は日本代表もヨーロッパにいる。ネーションズチャンピオンシップで、11月7日にウェールズ(カーディフ)、14日にイングランド(ロンドン)、21日にスコットランド(エディンバラ)と敵地で戦う。サモアの3試合と週末がそのまま重なる。日本の11月は日本代表の11月ネーションズチャンピオンシップで解説する。
リーグワンではどこで見られる?
2026-27シーズンは12月12日(土)にディビジョン3が、13日(日)にディビジョン1と2が開幕する。7人とも、所属クラブの試合で見られる。
- ディビジョン1クボタスピアーズ船橋・東京ベイのスティーブンソン。D1は2026-27シーズンからカンファレンス制をやめ、12チームが各18試合を戦う。
- ディビジョン2花園近鉄ライナーズのイオアネとウマガ=ジェンセン、川越狭山セコムラガッツのスレイド、JR東日本グリーンウォリアーズ東葛のファイランギ。D2は8チームの2回戦総当たりで、近鉄・セコム・グリーンウォリアーズは互いに2度ずつ当たる。
- ディビジョン3日本製鉄釜石シーウェイブスのニーニー、丸和MOMOTARO’S成田のシモネ。D3は7チームの2回戦総当たりで、釜石と成田の直接対決も2度ある。
D2とD3にサモア代表が6人いる以上、見どころは上位カテゴリーだけではない。D2なら、近鉄の2人とセコム、グリーンウォリアーズの対戦カードで、サモア代表同士がぶつかる場面が生まれる。日程と会場は、リーグワン公式サイトの日程ページで確かめてほしい。シーズン全体の見方はリーグワン2026-27の観戦ガイドで解説する。
注意点がふたつある。まず、2026年秋はラグビーリーグ(13人制)のワールドカップ(RLWC2026)も開かれていて、そちらのサモア代表「トア・サモア」は、この記事で扱う15人制のサモア代表(マヌ・サモア)とは別のチームだ。そして、代表の名簿は試合ごと、遠征ごとに変わる。ここに書いたのは11月のネーションズカップに向けた30人で、W杯2027のメンバーではない。所属クラブも2026年10月18日時点の各クラブ公式による。
W杯の初戦の相手を、テレビの向こうの「知らない強豪」として迎えるか、冬の間にスタジアムで見た「知っている選手」として迎えるか。その差は、観る側にとって小さくない。スティーブンソンの走り込むコース、ファイランギのボールキャリー、スレイドとニーニーのラインアウト。12月からの半年は、W杯の予習としても使える。
2026年11月のネーションズカップに向けたサモア代表30人のうち、リーグワン所属は7人(2026年10月18日時点)。スティーブンソン(クボタ)、アキラ・イオアネとウマガ=ジェンセン(近鉄)、スレイド(セコム)、ファイランギ(グリーンウォリアーズ)、ニーニー(釜石)、シモネ(丸和MOMOTARO’S成田)だ。 World Rugbyが2022年から適用している代表資格の規定(Regulation 8)で、最後の代表戦から36か月が空き、本人・親・祖父母のいずれかが移籍先の国で生まれていれば、規定委員会の承認を得て一度だけ代表国を変えられる。スティーブンソンやアキラ・イオアネはこの制度でサモアを選んだ。 ネーションズカップで、11月7日にジンバブエ(イングランド・ウェイクフィールド)、14日にポルトガル(ジャモール)、21日にスペイン(マラガ)と戦う(いずれも現地日付)。 2027年10月3日、オーストラリアのニューカッスル・スタジアムで行われるプールEの試合。日本にとって大会初戦で、その後10月9日にフランス、15日にアメリカと戦う。 どちらもWorld Rugbyが2026年に始めた2年ごとの大会。チャンピオンシップはシックス・ネーションズとSANZAARの国に日本とフィジーを加えた12チームで、ネーションズカップはサモアやジョージアなど別の12チームが戦う。両大会の昇降格は2030年大会以降に検討される。サモア代表にリーグワンの選手は何人いる?
元オールブラックスがなぜサモア代表になれるの?
サモアの11月の試合日程は?
W杯2027で日本とサモアはいつ戦う?
ネーションズカップとネーションズチャンピオンシップの違いは?
参考:RugbyPass「Former All Blacks trio headline Samoa’s squad for November Nations Cup」/World Rugby「World Rugby Nations Cup 2026 – Key facts」/World Rugby(代表資格の変更に関する発表、2021年11月)/JAPAN RUGBY LEAGUE ONE「2026-27 Division Structure Announcement」/Rugby World Cup 2027「Japan v Samoa」/JR東日本グリーンウォリアーズ東葛 新加入選手のお知らせ(いずれも2026年10月18日確認)
