7月は1勝2敗。イタリアに勝ち、アイルランドとフランスに負けた。ここまでは例年の「夏のテストマッチ」と同じに見える。でも2026年は違う。この3試合の勝ち点が11月の欧州遠征に持ち越され、最後はトゥイッケナムで「何位か」が決まる。新しい大会、ネーションズチャンピオンシップの話だ。
- ネーションズチャンピオンシップは北半球6か国と南半球+日本・フィジーの6か国が、反対側のグループと1試合ずつ戦う新大会。2026年が第1回
- 7月の3戦を終えて日本は南側グループ5位(勝ち点4)。11月はウェールズ、イングランド、スコットランドと敵地で3連戦
- 11月27〜29日にトゥイッケナムで「同じ順位同士」の順位決定戦。日本は現状なら9位決定戦が有力
- 勝てる可能性が一番高いのはウェールズ戦。イングランドにはテストで一度も勝ったことがない
Contents 目次
12か国が「反対側」とだけ戦う大会
ネーションズチャンピオンシップは、2026年に始まった12か国の国際大会だ。参加国は2つのグループに分かれている。
- 北半球:イングランド、フランス、アイルランド、スコットランド、ウェールズ、イタリア(シックス・ネーションズの6か国)
- 南半球ほか:ニュージーランド、南アフリカ、オーストラリア、アルゼンチン、日本、フィジー
面白いのは、同じグループ同士は戦わないこと。各国は反対側のグループの6チームと1試合ずつ、ホーム3試合・アウェー3試合の計6試合を戦う。7月は南半球側のホーム、11月は北半球側のホーム。日本の7月の3試合がホーム扱いで、11月の3試合がすべて敵地なのはこのためだ。
勝ち点は通常のテストと同じで、勝ち4、引き分け2、4トライ以上でボーナス1、7点差以内の負けでボーナス1。順位は自分のグループの中でつく。そして6試合が終わったあと、北と南の同じ順位同士が「順位決定戦」で当たる。1位同士が決勝、2位同士が3位決定戦……6位同士が11位決定戦。全12か国が7試合目を戦って、1位から12位まで決まる仕組みだ。
大会は2年に1度で、次は2028年。将来は下の大会(ワールドラグビー・ネーションズカップ)との昇降格も予定されているが、2026年大会は昇降格なしだ。
7月の3戦、日本は勝ち点4で南側5位
日本の7月を振り返る。
| 日付 | 対戦 | 会場 | スコア |
|---|---|---|---|
| 7月4日 | イタリア | 秩父宮(東京) | 27-10 勝 |
| 7月11日 | アイルランド | ニューカッスル(オーストラリア) | 20-36 負 |
| 7月18日 | フランス | 国立競技場(東京) | 15-42 負 |
アイルランド戦は本来日本のホームゲームだったが、オーストラリアのニューカッスルで行われた。アイルランド側の移動の事情で会場が移されたもので、エディー・ジョーンズHCが強く批判したことでも話題になった。フランス戦は国立で完敗。フランスとの過去の対戦は日本対フランスの対戦成績で詳しく書いている。
大会の順位表(7月18日終了時点)で、日本は1勝2敗、トライボーナスも惜敗ボーナスもなしの勝ち点4。南側グループはニュージーランドと南アフリカが3戦全勝、その下にオーストラリア(勝ち点8)、アルゼンチン(同7)、日本(同4)、フィジー(同0)と続く。
個人の数字では、FBの松永拓朗が7月の3試合で32得点を挙げ、大会の得点ランキングでフランスのマキシム・リュキュ(37点)に次ぐ2位につけた(7月19日時点)。キックでの得点源がはっきりしたのは、接戦の多い11月に向けて明るい材料だ。
7月と11月のあいだにも日本は試合を重ねた。8月はオーストラリアと2試合(花園で32-35、タウンズビルで17-56)、9月はカナダに57-12、パシフィックネーションズカップでアメリカに63-14、決勝でフィジーに20-15。世界ランキング(9月21日付)は9位まで上がっている。
11月の3連戦、相手別の見どころ
11月の日程は次の通り。キックオフは日本時間。
- 11月8日(日)1:40 ウェールズ戦(カーディフ、プリンシパリティ・スタジアム)
- 11月15日(日)1:40 イングランド戦(ロンドン、トゥイッケナム)
- 11月21日(土)23:10 スコットランド戦(エディンバラ、マレーフィールド)
3か国の顔ぶれも確認しておく。ウェールズはスティーブ・タンディHCで主将はデューイ・レイク。イングランドはスティーブ・ボースウィックHCで主将ジェイミー・ジョージ。スコットランドはグレガー・タウンゼンドHCで主将シオネ・トゥイプロトゥ。いずれも2026年大会時点の体制だ。
ウェールズ:去年は1点差、勝ちに一番近い相手
World Rugbyの記録では、日本とウェールズは17回対戦して日本の2勝15敗。勝ったのは2013年6月の秩父宮(23-8)と、2025年7月の北九州(24-19)。そして2025年11月のカーディフは23-24、1点差で落としている。世界ランキングはウェールズ11位、日本9位(9月21日付)で、今の3か国の中では唯一日本が上だ。7月のウェールズはフィジーに勝ったものの、アルゼンチンと南アフリカ(0-43)に敗れて1勝2敗。
イングランド:まだ一度も勝っていない
一番高い壁はここ。World Rugbyの記録で日本はイングランドに11戦全敗だ。1971年には3-6という接戦もあったが、近年は2022年のトゥイッケナムで13-52、2024年11月の同じ会場で14-59と大差がついている。イングランドは7月、南アフリカに負けたがフィジーに73-8、アルゼンチンに31-24で2勝1敗。世界ランキング5位。
スコットランド:マレーフィールドで勝ったことはない
通算は13戦2勝。2勝は1989年の秩父宮(28-24)と、2019年W杯の横浜(28-21)。どちらも日本での試合で、マレーフィールドでは1991年W杯を含めて全敗している。前回の2021年11月は20-29だった。スコットランドは7月、アルゼンチンに47-38で打ち勝ち、フィジーにも勝って2勝1敗。世界6位。
Q1日本代表がスコットランドに勝った2試合は、どちらも同じ条件で行われた。その条件とは?答えを見る
どちらも日本国内での試合。1989年は秩父宮、2019年W杯は横浜。スコットランドの地では、まだ勝ったことがない。
全力派:勝ち点を稼げる現実的な相手はウェールズ。初戦で勝てば遠征全体の空気が変わる。
同じ温度派:イングランドとスコットランドでも7点差以内に収めれば勝ち点1が入る。1試合に賭けるより、3試合で拾える勝ち点を全部拾うほうが順位は上がる。
トゥイッケナムの順位決定戦、日本は何位争いか
6試合が終わると、11月27日から29日の3日間、全試合トゥイッケナムで順位決定戦が行われる。予定されているキックオフを日本時間に直すと次の通り。
| 試合 | 組み合わせ | 日本時間 |
|---|---|---|
| 11位決定戦 | 北6位 対 南6位 | 11月28日(土)1:40 |
| 5位決定戦 | 北3位 対 南3位 | 11月28日(土)5:10 |
| 9位決定戦 | 北5位 対 南5位 | 11月28日(土)22:10 |
| 3位決定戦 | 北2位 対 南2位 | 11月29日(日)1:40 |
| 7位決定戦 | 北4位 対 南4位 | 11月29日(日)22:10 |
| 決勝 | 北1位 対 南1位 | 11月30日(月)1:40 |
今の位置のままなら、日本は南5位として9位決定戦に回る。4位に上がれば7位決定戦だ。そのためには、11月の3試合でオーストラリアかアルゼンチンを勝ち点で上回る必要がある。両国とも11月は北半球の強豪と3試合ずつ戦うので、取りこぼしはありうる。一方でフィジーとの差は4点しかない。ここで負けが続くと11位決定戦まで落ちる可能性も残っている。
順位決定戦の相手も気になる。北側グループは7月終了時点でイングランド、フランス、アイルランド、スコットランドが2勝1敗で並び、ウェールズが1勝2敗、イタリアが3戦全敗。日本が南5位のままなら、9位決定戦の相手は北5位。ウェールズかイタリアになる可能性が高い。11月8日に戦うウェールズと、3週間後にトゥイッケナムで再戦、という展開も十分ありうる。
要するに、11月の3試合は「勝ち点をいくつ積めるか」がすべて。1勝すれば4位争いが見えてくるし、全敗でも惜敗ボーナスを拾えれば5位は守りやすい。
放送・配信はWOWOWとJ SPORTS
日本協会の大会ページでは、ネーションズチャンピオンシップはWOWOWとJ SPORTSで放送・配信するとしている。7月のイタリア戦はWOWOWプライムとJ SPORTS 2で生中継、それぞれのオンデマンドでも生配信された。WOWOWは2026年、2028年、2030年の大会の放送・配信権を持っていて、7月は全18試合をWOWOWオンデマンドで配信した。11月分の詳しい編成は各局の発表を確認してほしい。
ウェールズ戦とイングランド戦は日曜の深夜1時40分キックオフ。土曜の夜に仮眠を取って備えるのが現実的だ。スコットランド戦は土曜23時10分なので、これは起きたまま観られる。
来年のW杯に向けて、11月の欧州遠征はメンバー選考の最終段階でもある。7月の開幕戦で初キャップを得た伊藤龍之介のような若手が、敵地の大観衆の前でどこまでやれるか。主将ワーナー・ディアンズを中心にしたFWが、欧州の重いパックとどう組むか。W杯全体の流れはW杯2027 日本代表の日程と組み合わせにまとめている。
カーディフで去年の1点を取り返し、トゥイッケナムとマレーフィールドで「初めて」に挑む。晩秋の3週間で、日本代表の現在地がはっきりする。
参考:日本ラグビーフットボール協会(ネーションズチャンピオンシップ2026)/日本ラグビーフットボール協会(イタリア戦メンバー・放送)/WOWOWニュース/リードラグビー(2026年テストマッチ日程)/Wikipedia: 2026 Nations Championship/World Rugby 世界ランキング
